2005 Fiscal Year Annual Research Report
超未熟児に伴う脳障害の病態研究-神経幹細胞障害モデルと幹細胞移植治療への展望
Project/Area Number |
17659324
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
井上 健 国立精神・神経センター, 疾病研究第二部, 室長 (30392418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高嶋 幸男 国際医療福祉大学, 大学院, 教授 (70038743)
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Keywords | 脳室周囲白質軟化症 / 超早産児 / 神経前駆細胞 / 虚血性脳傷害 / 脳性麻痺 / 高次脳機能障害 |
Research Abstract |
超未熟児における脳室周囲白質軟化症(periventricular leukomalacia ; PVL)は、後に脳性麻痺や知的及び行動障害を引き起こす事が知られている。前者に関しては脳深部白質障害としての病態がかなり明らかになっている。後者に関してはむしろ灰白質の発達障害が示唆されるが、その病態に関しては未だ不明である。我々は、PVLにおいて深部白質とは別に脳室周囲の神経幹細胞の損傷を伴うのではないか、と仮説を立てた。そしてこれがその後の神経幹細胞から神経細胞やグリア細胞への分化、移動、成熟に障害を来たし、その結果、大脳灰白質の発達障害、しいては患児の知的及び行動障害の原因の一つとなっているのではないかと考えた。当研究では、ヒトPVL患児の剖検脳標本および羊を用いて作成したPVLモデル動物を用いて、この仮説の妥当性を神経病理学的に検証する事を目的とする。 平成17年度は、まずPVLにおいて神経発生が障害されているかどうかを検証するため、剖検によって得られたヒトPVL症例及び正常対照例の脳標本を用い、脳室周囲および脳室下領域の神経幹細胞を特異的蛋白に対する抗体を用いて、免疫組織科学的に検討した。これまで解析を開始していた29症例に加え、新たに30症例の超早産児の脳検体を、研究協力者であるArmstrong教授より提供をうけ、同じく研究協力者である出口貴美子博士とともに神経病理学的な解析を開始した。これにより、学童期の高次脳機能障害が特に問題になる超早産児における虚血性深部白質病変と、それに伴う神経前駆細胞の傷害との関連を明らかにすることができると思われる。 また、共同研究者らが以前作製した羊胎児脳虚血モデルの脳標本を入手し、神経病理学的な解析を開始した。 これまでの研究成果の一部を第15回欧州神経学会総会(2005年6月ウィーン)にてポスター発表した。
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