2005 Fiscal Year Annual Research Report
あらゆる妊娠週数の全胎児で観測可能な胎児心電図の可能性の基礎研究
Project/Area Number |
17659327
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木村 芳孝 東北大学, 先進医工学研究機構, 教授 (40261622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
妹尾 匡人 東北大学, 大学病院, 助手 (20302127)
伊藤 拓哉 東北大学, 先進医工学研究機構, 助手 (70396539)
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Keywords | 胎児心電図 / 非定常性 / 非線形分離 / 伝導経路 |
Research Abstract |
【1.目的】母体腹壁から胎児心電図を測定する問題点に胎動による胎児の非定常性、胎児心電図成分の非線形、特定の胎齢における母体腹壁への伝導率低下があげられる。本研究ではこれらの問題を解決する為、胎動にも対応可能な非線形フィルターの開発および活動電位伝導路の解明を目的とした。 【2.方法】妊娠ウサギを麻酔下で開腹し、1胎仔に子宮上から心電図電極を固定し、該当する羊水腔に羊水補充用カテーテルを留置後閉腹した。次に母体腹壁に心電図電極を9個装着し、腹壁誘導と胎仔直接誘導で心電図を記録した。胎仔と羊水腔の割合を変化させる目的で羊水腔に(1)生理食塩水を補充した。次に胎仔からの電気伝導路に関する考察の為、(2)羊水を非電解質である等張ブドウ糖液に置換した。最後に胎脂に覆われ、母体腹壁への伝導率が低下する30週前後のヒト胎児を想定し、羊水腔に(3)ラードを注入した。全ての心電図を非線形フィルターにより分離を試みた。(1)〜(3)条件で腹壁誘導と胎仔直接誘導のR波の振幅を比較した。 【3.結果】各条件において腹壁誘導から胎仔心電図を記録し、非線形フィルターによる分離に成功した。腹壁誘導によるR波の振幅は羊水腔の体積増加により低下したが、(1)〜(3)条件で注入した成分による差は見られなかった。伝導率低下に羊水成分は関与せず、30週前後における測定困難の原因は胎脂以外であることが示唆された。本研究によって得られた成果の一部を今年度の電子情報通信学会分会ME&バイオサイバネテックスにて発表した。 【4.H18年度の展開】来年度は非定常性と伝導路の解決を目指す。非定常性に関しては実際に胎児の位置を移動するのではなく、母体腹壁電極の位置を移動し、胎動のモデルとする。
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