2005 Fiscal Year Annual Research Report
新生児期遺伝子治療におけるアデノ随伴ウイルスベクターの体内動態と治療効果
Project/Area Number |
17659328
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
久米 晃啓 自治医科大学, 医学部, 助教授 (10264293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水上 浩明 自治医科大学, 医学部, 講師 (20311938)
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Keywords | 遺伝子治療 / 先天代謝異常 / 新生児 / ウイルスベクター / アデノ随伴ウイルス |
Research Abstract |
小児期に発症する多くの遺伝性代謝疾患は、早期に治療を開始する必要がある。我々はフェニルケトン尿症(PKU)マウスをモデルに、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターによる遺伝子治療法を開発中であり、成体PKUマウスの治療実験には成功している。そこで、より早期の根治を目指してマウス新生仔での実験を開始した。今年度は、現在臨床で使われているAAV2型より肝臓への遺伝子導入効率が高いといわれるAAV5型ベクターについて、マウス成体と新生仔における遺伝子導入効率ならびに体内動態を比較検討し、以下の結果を得た。(1)ヒト凝固第IX因子(hFIX)遺伝子発現AAV5ベクター(AAV5/hFIX)をマウス新生仔に投与した場合、腹腔内投与の方が静脈内投与より遺伝子導入効率が高かった。(2)AAV5/hFIXを成体に腹腔内投与するとhFIXの発現に大きな性差(雄>>雌)が認められた。一方、体重あたり同量のAAV5/hFIXを新生仔に腹腔内投与した場合、hFIXの発現は雄雌とも同程度で成体雄に投与した時よりも高く、より長期間持続した。(3)AAV5の体内分布を知るため、lacZレポーター遺伝子を搭載するAAV5ベクター(AAV5/lacZ)を成体と新生仔に腹腔内投与した。8週後屠殺して各臓器におけるlacZ発現を調べたところ、主な発現の場は腹膜だった。発現の程度は、新生仔投与後のマウスでは雄雌とも非常に高く、成体投与後の雄にて少量、成体投与後の雌では殆どゼロであった。(4)レポーターとしてルシフェラーゼ遺伝子を搭載するベクター(AAV5/Luc)を腹腔内投与して、その発現をin vivo追跡する実験でも、AAV5/lacZ投与実験と同様の結果を得た。結論として、新生仔へのAAV5投与は成体への投与より効果が高く、性差の問題を回避する手段としても有効と考えられる。
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Research Products
(6 results)