2005 Fiscal Year Annual Research Report
栄養障害型表皮水疱症の新しい治療法の開発:終止変異を有するエクソンのスキッピング
Project/Area Number |
17659331
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
澤村 大輔 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (60196334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小玉 和郎 北海道大学, 北海道大学病院, 助手 (20322810)
青柳 哲 北海道大学, 北海道大学病院, 助手 (40374277)
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Keywords | 表皮水疱症 / VII型コラーゲン / 遺伝子治療 / 変異 / アンチセンス / エクソントラップ / 水疱症 / オリゴヌクレオチド |
Research Abstract |
表皮水庖症の中で,VII型コラーゲンの発現がない重症の劣性栄養障害型は,予後が不良のため,治療法の開発が急務である。本症の原因は,VII型コラーゲン遺伝子の両方のアリルに存在する早期終止コドンである。現在,正常のVII型コラーゲン遺伝子(COL7A1)を導入する遺伝子治療が期待されているが,技術的・倫理問題など解決すべき問題も多い。 本研究の目的は,COL7A1の早期終止コドンを含むエクソンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド(anti-oligo)を本症患者病変部に投与することにより,そのエクソンのスキッピングを誘導し,COL7A1全長の翻訳可能にする新規治療法を開発することにあった。 今回の研究では、日本人重症型によく見られる変異である、COL7A1の5818delCを標的とした。まずその変異が存在するエクソン70のエクソンスキップが可能かどうかを検討した。コンピュタープログラムから2つのanti-oligoを作成し、培養表皮細胞に添加したところ、一つのanti-oligoで効率的にエクソンスキップが誘導された。さらに、人皮膚を動物に移植して、その皮膚にanti-oligoを投与すると、生体でもスキップが確認された。次に、5818delC特的なanti-oligoを作成し、本症患者培養表皮細胞に添加した。その結果、5818delCをもつアリルにのみ、エクソンスキップが誘導され、いままでなかったVII型コラーゲンの発現が認められるようになった。 今回の結果は、重症型表皮水庖症において、anti-oligoを用いたエクソンスキップ療法の有用性を初めて示すものであり、さらに臨床応用に向け基礎的な研究が継続されるべきであると、結論した。
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