2005 Fiscal Year Annual Research Report
乳児非言語的母子間コミュニケーションの客観的測定法の開発およびその臨床応用
Project/Area Number |
17659355
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
篠原 一之 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (30226154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 寛樹 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (50260766)
荒木 美幸 長崎大学, 医学部, 助手 (10304974)
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Keywords | 脳・神経 / 脳神経疾患 / 情報工学 / 生理学 / 神経科学 |
Research Abstract |
本研究では、顔画像を用いて、乳児の情動表出を客観的に評価した。 4ヶ月齢、7ヶ月齢、10ヶ月の乳児において、「喜、悲、怒、恐、驚の5種の情動を喚起する方法」を確立した。次に、各月齢30〜50例を対象に、各月齢別情動喚起法によって惹起された表情をデジタルビデオカメラによって撮影した。記録したDV-AVI形式の動画から情動喚起によって最も変化が生じている時点の静止画像を切り出した。 乳児の顔正面画像上の鼻根、鼻下、目尻、目頭、上瞼最上側、下瞼最下側、頬、口角の座標を計測し、目や口の幅などの部位間の距離を算出した。これらの距離は、カメラと被験者間の距離の変動を考慮し、鼻根と鼻下間の距離およびそのデータベースにおける平均値を用いた補正値を算出することで、遠近の補正を行った。その後、無表情時と各情動喚起時の、目や口の幅等の顔部位間距離を比較し、情動誘発による変化がどのような顔部位で生じているのか解析を行った。 目の縦横幅、口の縦横幅、鼻下から口角の距離等の顔部位間距離について、情動喚起による変化がみられた。目縦幅について、喜び、悲しみ、怒り、恐れの情動喚起によって統計的に有意に減少していた。口横幅ならびに口縦幅は、喜び、悲しみ、怒りの喚起によって増加がみられた。鼻下と口角の場合は、悲しみ、恐れの喚起により増加した。このように、喚起した情動と各顔部位間距離変化の関連を解析することにより、それぞれの情動に特徴的なパターンを抽出することが可能となった。また、この特徴パターンを用いることで、乳児の顔画像から、それがどのような情動を表出した表情であるのかを推測することが出来るものと考える。 なお、本研究は、長崎大学医学部倫理委員会の承認を受け、研究の目的と方法の十分な説明を行い、書面による母親からの同意を得て行った。
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