2005 Fiscal Year Annual Research Report
システム生物学の導入による放射線治療の体積効果に関する研究
Project/Area Number |
17659360
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 恵士郎 北海道大学, 病院, 助手 (70374288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼丸 力也 北海道大学, 病院・医員 (80374461)
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Keywords | 放射線治療 / 肺癌 / 体幹部定位放射線治療 / 体積効果 / 細胞間ネットワーク / 脊髄 / 動体追跡放射線治療 |
Research Abstract |
本研究においては、いわゆる古典的放射線生物学では解決し得なかった放射線治療における体積効果について、システム生物学の考えを取り入れた新たなコンピューター計算技術を応用して解析を行う。 今年度の研究成果は以下の通りである。 (1)放射線治療の照射体積と線量効果について、肺癌156名の体幹部定位照射による肺臓炎発現と腫瘍制御率のデータをもとに、dose volume statisticsを用いた解析を行った。治療前の呼吸機能、V10,V15,V20,Mean doseなど他のパラメーターを用いた予測可能性を検討したところ、治療前の呼吸機能やこれらのパラメーターは、肺臓炎の発生率と相関しないことを解明した。 (2)一方、39症例の肺癌近傍に刺入した42個の金マーカーの動きを解析し、肺の尾側半分、背側半分ではそれぞれ頭側、腹側に比べて有意に動きの範囲が8mm程度大きく、肺臓炎の発生率に関与し得ることが示唆された。 (3)照射部位の時間的な座標変化を評価するために、体内と体表面の座標系を極座標上できるだけ固定するべく、治療用カーボンフレームを購入し、これを用いたCT撮影を頭頚部・脳腫瘍に利用することで、回復力の3次元ネットワーク解析を可能にした。 (4)組織間ネットワークに基づいた回復力を仮定し、コンピューター上で1次元の体積効果をモンテカルロ法でシミュレーションした。このシミュレーション結果と、in vitroの組織系での反応を比較するために、CO2インキュベーターを新たに購入し、細胞間ネットワークの実験的解析に備えた。 (5)1次元の体積線量効果のヒトでの研究対象として脊髄の耐容線量・腫瘍制御に関する臨床成績を解析し、脊髄麻痺を許容した大線量照射による悪性腫瘍治療の可能性を探った。
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