2005 Fiscal Year Annual Research Report
位相型X線イメージングによるアルツハイマー病原因物質βアミロイド検出の試み
Project/Area Number |
17659362
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
武田 徹 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (10197311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
呉 勁 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (20375512)
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Keywords | アルツハイマー病 / βアミロイド / 位相X線イメージング / CT / 形態診断 |
Research Abstract |
X線は生体内を観察する重要な技術として広く利用されている。今日用いられているX線画像は、被射体を透過したX線の吸収差を捉えて形成されるが、X線の波の性質を用いた新しいイメージング法が世界中で注目されている。波の屈折を捉えると、生体構成元素H,C,N,Oに対する感度が従来の透過法より約千倍高くなり、生体軟部組織構造を無造影で画像化できる。我々は、位相情報を画像化する干渉計を用いた位相X線イメージング装置を開発した(Nature Med.2,473,1996;Radiol.214,298,2000)。本装置を用い、老齢ラットの腎臓を撮影し、糸球体機能異常のため尿細管内に蛋白が高密度で集積している画像を得た。これに類似した病的な変化として、痴呆性疾患であるアルツハイマー病でのβアミロイドの脳内沈着があり、高感度な本技術により、このβアミロイドを描出できる可能性が非常に大きい。本研究では、アルツハイマー病モデル動物脳を撮影し、位相型X線イメージングでβアミロイドの脳内沈着が検出できる事を碓認する。 本研究を実施するため、米国ジャクソン研究所から3組のアルツハイマー病モデル動物を購入し、病的モデルマウスの子孫を交配し、現在約百匹に増やした(現在、9ヶ月のマウスが最年長)。すなわち、実験を行うための準備が整ってきた。この動物モデルは、6ヶ月頃からβアミロイドが沈着し始め、9-12ヶ月に著明な沈着が観察されると報告されている。平成18年度から、これらの月齢に対応させて位相X線画像収集、βアミロイド組織染色等を行い、位相X線CTによるβアミロイド検出の感度及び精度を検討する。また、βアミロイドの立体的な分布と数の定量的な解析ソフト開発を実施する。予備的な脳の撮影実験では、脳構造が明瞭に弁別できている。
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