2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒートショックタンパク質阻害剤による温熱・放射線感受性の増感
Project/Area Number |
17659372
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
大西 武雄 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60094554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 健 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (50152195)
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Keywords | ヒートショックタンパク質 / ハイパーサーミア / 放射線 / 感受性 / 増感剤 |
Research Abstract |
目的 本研究では温熱処理あるいは放射線照射後に誘導されるアポトーシスシグナル伝達系を抑制しているヒートショックタンパク質(Hsp)を分子制御し、温熱・放射線に対するがん細胞の感受性を高めることを目的とする。Hsp27、Hsp70、Hsp90はアポトーシス実行因子であるCaspase-3の活性化を誘導するApoptosome(Apaf-1/Caspase-9/Cytochrome C複合体)の形成を阻害することが最近報告されつつある。従って、Hsp27,Hsp70、Hsp90を分子制御することにより、温熱あるいは放射線誘導アポトーシスを増強することが可能となる。細胞死/細胞生存にかかわるシグナル伝達系で中心的にはたらくPI3-Kの特異的阻害剤であるLY294002がHsp27/Hsp70を阻害することを我々は見出している。本研究ではがん細胞をp53遺伝子型に依存せず温熱・放射線増感に導くかどうかを培養細胞系で調べることを目的とする。 方法 (1)ヒトのp53遺伝子欠損肺がん細胞H1299へ正常型および各種変異型p53遺伝子を導入し、これらを本研究に用いた。得られた結果がp53遺伝子に依存しているかが判断できる。 (2)生存シグナルの阻害剤(PI3-K阻害剤LY294002)による温熱・X線増感効果をコロニー形成法で調べた。 (3)アポトーシス誘導がLY294002により増強されるかどうかをアポトーシス小体検出法あるいは細胞生存関連タンパク質の蓄積誘導をWestern blot法で調べた。 結果 1.LY294002(PI3-K阻害剤)によって細胞の温熱・X線感受性はp53遺伝子型に依存せず増感された。 2.LY294002によって温熱・X線誘導アポトーシスはp53遺伝子型に依存せず増強された。 3.温熱・X線処理後、AktとFKHR(Aktの下流因子)のリン酸化、survivinの蓄積誘導が見られたが、LY294042によりそれらは阻害された。 4.LY294002は温熱によるHSF1のDNA結合活性化およびhsp27、hsp70の蓄積誘導を阻害した。 考察 LY294002はp53非依存的な温熱・X線誘導アポトーシスの増強をもたらし温熱・X線増感剤として有用であることが示唆された。
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Research Products
(7 results)