2005 Fiscal Year Annual Research Report
極洋の魚類より抽出された不凍タンパクを用いた膵島細胞の凍結保存法の開発
Project/Area Number |
17659378
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
蒲池 浩文 北海道大学, 大学院・医学研究科, 寄附講座教員 (60374237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 通明 北海道大学, 医学部, 教授 (20250425)
藤堂 省 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60136463)
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Keywords | 不凍糖タンパク質 / 不凍タンパク質 / 膵島移植 / 凍結保存 |
Research Abstract |
【背景】重症糖尿病に対する膵島細胞移植の成績は、細胞培養法や免疫抑制法の進歩により飛躍的に改善している。また、臓器と異なり、膵島細胞は凍結保存が可能である点も臨床上の大きなメリットである。しかしながらドナーの絶対的不足と複数ドナーからの膵島が必要なことが普及の障害となっており、オンデマンド供給の可能な膵島細胞の効率的な凍結保存法が求められている。 不凍糖タンパクは南極や北極近海の水温が零下になる極洋の魚が保有しているタンパク質である。魚は通常-0.7℃程で凍結してしまうが、不凍蛋白をもつ魚は-2℃以下まで海水温が下がっても凍結しない、このことによって、極洋でも生存が可能になっているのである。 【目的】細胞の凍結保存で最大の問題は細胞内外の水分が氷晶化することによって細胞破壊がおきることである。不凍糖タンパクには氷結晶成長抑制作用があり、この性質を膵島の凍結保存に応用することを試みた。 【方法】8週齢雄性Wistarラットより膵管内コラゲナーゼ消化法、Ficoll-Conray比重遠心法にて膵島を単離。RPMI1640 10%FCS 37℃5%CO2にて24時間前培養後、2M DMSO RPMI1640 10%FCSに不凍糖タンパクを0〜1000μg/mlの各濃度にて添加、プログラムフリーザーを用い-0.3℃/minにて植氷を-5.5℃にて行い、-40℃まで緩徐凍結、その後、液体窒素中(気相)に1週間保存した。凍結膵島は37℃ウォーターバスにて急速解凍し、0.75MスクロースRPMI1640にてDMSOを除去した後、RPMI1640 10%FCS 37℃5%CO2にて24時間培養後、評価をおこなった。さらに、凍結過程を低温顕微鏡を用い観察した。 【結果】凍結前後の膵島回復率(凍結後膵島数/凍結前膵島数)は、不凍糖タンパク500μg/mlにて85.0+/-2.6%(mean+/-SEM)ともっとも良好で、非添加群では63.3+/-5.8%であった(p<0.05)。グルコース応答性インスリン分泌能(Static Stimulation Index)は不凍糖タンパク500μg/mlにて3.86+/-0.43%ともっとも良好で、非添加群では2.98+/-0.22%であった(p<0.05)。低温顕微鏡による凍結過程の観察によって合成不凍糖タンパク500μg/mlのときにもっとも膵島に対し保護的な氷晶形成抑制を認めた。逆に高濃度(1000μg/ml以上)の場合、針状結晶を形成し凍結時膵島を破壊した。 【結論】不凍糖タンパクは500μg/mlという、ある定まった濃度において凍結解凍時、膵島に対し保護効果を認めた。
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