2007 Fiscal Year Annual Research Report
異種移植における免疫寛容導入を目的とした間葉系幹細胞・骨髄同時移植モデルの確立
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17659385
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
江口 寛 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (20379267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永谷 憲歳 国立循環器病センター, 再生医療部, 部長 (60372116)
佐田 正晴 国立循環器病センター, 再生医療部, 部長 (20162399)
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Keywords | 異種移植 / 免疫寛容 / 間葉系幹細胞 / 骨髄内骨髄移植 / ブタ骨髄細胞 / 免疫不全マウス / 血清補体活性 / 正常免疫能マウス |
Research Abstract |
本年度は3年計画の最終年度であり、まず免疫不全マウスにブタ骨髄由来の間葉系幹細胞とブタ骨髄細胞を同時にマウス骨髄に直接移植する実験を再試し、国内国際学会に発表するとともに英語論文を作成した。NOD/SCIDマウスに放射線照射後、ブタ骨髄細胞と予め増殖させたブタ間葉系幹細胞を両足脛骨の骨髄腔内に直接注入し、ブタ細胞のキメラ率を検討した。注入部位である脛骨におけるキメラ率は、移植後6週目まで間葉系幹細胞を同時に移植した群において有意に高値を示したのに対し、非注入部位である大腿骨におけるキメラ率は移植後3週目において高値を示した。このことは、間葉系幹細胞の骨髄内同時移植がブタ細胞の生着を比較的短期間であるが亢進させ、その機序として液性因子の関与を強く示唆するものであった。本法は、従来のレシピエントに遺伝子導入する方法とは異なり、将来のブタ-ヒト間への移植に応用可能である。また増殖させたブタ間葉系幹細胞に各種遺伝子を導入することにより、さらなるブタ細胞の生着の亢進を図ることが可能である。次に、本法を正常免疫能マウスへ応用するため血清補体活性の影響を検討した。正常マウス血清、熱処理し補体を失活させた正常マウス血清および補体活性を有しないNOD/SCIDマウス血清を用い、ブタ細胞の各種血清混入培養液中での生存率を検討した。どの血清混入培養においてもブタ細胞は培養1週目において95%以上の生存率を示し、補体ではブタ細胞に傷害を与えないことが示された。このことは、マクロファージによるブタ細胞傷害実験において正常マウス血清の投与により著しく傷害活性が増強されることと対比的であり、ブタ-マウス間の移植において補体活性は大きな影響を与えない可能性が示唆された。よって、Cobra Venom Factorが条約により入手不可能であるため実施困難と考えられていた正常免疫能マウスにおいても、本法の応用は可能であると考えられた。
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Research Products
(4 results)