2005 Fiscal Year Annual Research Report
分子生物学的手法を用いた癌の新しい迅速診断法の開発と微小転移の意義の検討
Project/Area Number |
17659386
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松浦 成昭 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70190402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門田 守人 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00127309)
河口 直正 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70224748)
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Keywords | リンパ節転移 / 遺伝子診断 / 乳癌 / RT-LAMP法 |
Research Abstract |
本研究は短時間で効率良く遺伝子増幅が行えるRT-LAMP(reverse transcription-loop-mediated isothermal amplification)法を導入して、迅速で高感度な分子生物学的診断システムを開発していくものである。今年度は乳癌リンパ節を中心に基礎的検討を行った。まず用いるマーカーの検討を行った。転移陽性の乳癌所属リンパ節および陰性リンパ節について検討を行い、感度・特異度の点から最適のマーカーとしてサイトケラチン(CK)19を選定した。CK18、CK20は特異度の点で、CEAは感度の点でCK19に比べて不十分であった。ついで、リンパ節のlysate中に培養癌細胞を一定数添加して、RT-LAMP法でどの程度の感度まで検出が可能かどうかの検討を行った。リンパ節をhomegenizeしたlysate50μlの中に培養癌細胞を1-100個添加したものをサンプルとして、RT-LAMP法によりCK19のmRNAの増幅効率を検討した。その結果、癌細胞を100個添加したものでは10分くらいで増幅産物を示す立ち上がりを認め、10〜1個の細胞数に対しても10数分〜20分以内で増幅産物が見られた。一方、細胞を添加しないものでは増幅産物は全く見られなかった。この結果より、RT-LAMP法を用いた方法では全行程30分以内で遺伝子増幅が行えること、さらに定量的な評価も可能であると考えられた。次に、リンパ節凍結切片を3枚連続で作成し、1枚目をHE染色、2枚目をRT-LAMP法、3枚目を免疫染色を行った。この検討の結果、リンパ節転移陽性症例では、病理診断・遺伝子診断ともすべて陽性の結果を得ることができ、リンパ節転移陰性症例ではいずれの方法でも癌細胞の検出が行えなかった。この結果から微量でも癌細胞が存在すればRT-LAMP法を用いて遺伝子診断で検出が可能であると考えられた。
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