2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子生物学的手法を用いた癌の新しい迅速診断法の開発と微小転移の意義の検討
Project/Area Number |
17659386
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松浦 成昭 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70190402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門田 守人 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00127309)
河口 直正 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70224748)
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Keywords | リンパ節転移 / 遺伝子診断 / 乳癌 / RT-LAMP法 |
Research Abstract |
本研究は短時間で効率良く遺伝子増幅が行えるRT-LAMP (reverse transcription-loop-mediated isothermal amplification)法を導入して、迅速で高感度な分子生物学的診断システムを開発していくものである。今年度は実際の乳癌の所属リンパ節を中心に検討を行った。数10種類の遺伝子マーカーを対象に転移陽性のリンパ節および陰性リンパ節について検討を行った所、感度・特異度の点から最適のマーカーとしてサイトケラチン(CK)19を選定した。ついで実際の乳癌患者腋窩リンパ節をサンプルとして、リンパ節の半分を病理組織診断法で、残りのさらに半分(全体の1/4)を本法による遺伝子診断法で比較検討を行った。その結果、39サンプル中、病理診断・遺伝子診断の結果が一致したものが31サンプルあり、病理診断陽性で遺伝子診断陰性が1例、病理診断陰性で遺伝子診断陽性が7例あった。病理診断陽性・遺伝子診断陰性のものはリンパ節のごく一部に微小転移が見られた例であり、遺伝子診断されたサンプルに癌細胞が含まれていないため陰性になった可能性が考えられた。病理診断陰性・遺伝子診断陽性のものは、ほとんどが免疫組織化学を併用した多数切片の検索により微小転移の存在が認められたので、遺伝子診断の方が高感度に微小転移を検出していたと考えられた。以上の結果から、RT-LAMP法を用いた迅速遺伝子診断は微小転移も見逃すことなく、高感度にかつ特異的に診断可能であると考えられた。
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