2005 Fiscal Year Annual Research Report
リン脂質ポリマーバイオマテリアルを用いたセンチネルリンパ節標的局所抗癌療法の開発
Project/Area Number |
17659395
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
上田 政和 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (50142419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 壮治 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (10169287)
相浦 浩一 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00184010)
安藤 崇史 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10365265)
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Keywords | SNリンパ節 / MPCポリマー / DDS / リンパ指向性 / 局所抗癌療法 |
Research Abstract |
(目的)優れた生体および血液適合性を有する水溶性共重合体ポリマーであるPMB30Wを用いて組織刺激性の少なく、安全性が高くしかもリンパ指向性を有した抗がん剤を開発した。PMB30Wは親水基と疎水基の両方を有しており水溶性でかつ疎水性物質を安定的に内包させることや改変することにより遺伝子を結合させることなどができる。 (材料と方法)1.パクリタクセル封入MPCポリマーを作製し、ラット皮下に局注しその変化を肉眼的および組織学的に検討するとともに生存率を比較した。2.同ポリマーをラット肝細胞癌を盲腸粘膜下に移植したモデルに腫瘍近傍に局注し、周囲リンパ節における濃度、リンパ節重量さらには生存率を比較検討した。 (結果)(1)パクリタクセルを臨床で使用するようにクレモフォールに溶解しラット皮下や腸管粘膜下に局注すると局注した部分の組織は壊死を起こし潰瘍を形成するが、パクリタクセル封入PMB30をラット皮下や腸管粘膜下に局注してもラット皮膚や腸管にはなんら変化をきたさなかった。さらに、従来から用いられているパクリタクセル製剤では50mg/kg以上は投与できず200mg/kg投与すると数分以内に投与された個体は全例死亡したが、MPCポリマーに封入したものでは200mg/kg投与しても全例生存し、著明な抗腫瘍効果を示した。(2)さらに、腸管に腫瘍を注入し局所リンパ節に転移するラットモデルで腫瘍を注入した腸管にパクリタクセル封入MPCポリマーを局注すると近傍のリンパ節で最初に転移をおこすセンチネルリンパ節へ高濃度にパクリタクセルを移行させることが可能となりしかも同量のパクリタクセルを投与しても局注した群の方が生存率が有意に高率であった。 (結論)パクリタクセル封入MPCポリマーは局所投与可能でしかもセンチネルリンパ節指向性を有することが示された。
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Research Products
(5 results)