2005 Fiscal Year Annual Research Report
癌特異的トランスポーターを利用したインテリジェントDDSによる癌分子標的治療
Project/Area Number |
17659418
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
仲 秀司 帝京大学, 医学部, 助教授 (60256063)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳衛 宏宣 東京大学, 先端科学研究センター, 特任助教授 (30212278)
江里口 正純 東京大学, 先端科学研究センター, 特任教授 (10114406)
久 智行 東京大学, 先端科学研究センター, 特任講師 (80281278)
|
Keywords | Tubulin specific chaperone E / CBP / P300-interacting transactivator / 遺伝子導入 / 薬剤感受性遺伝子 |
Research Abstract |
卵巣癌のなかには、プラチナ抗癌剤に耐性のものが存在している。我々は、Oxaliplatin感受性癌細胞株KF-1とOxaliplatin耐性癌細胞株KF-Rを用いて、DNAマイクロアレイを行いその遺伝子プロファイルの違いを検索した。注目すべき点は、Tubulin specific chaperone E (TBCE)とCBP/P300-interacting transactivator (CITED2)の発現増加をOxaliplatin耐性癌細胞株KF-Rにおいて認めた。さらに、KF-Rにおいて、これらの遺伝子のsiRNAを用いて遺伝子をknock downした場合、感受性細胞株のIC50濃度のOxaliplatinを反応させても、細胞増殖抑制を認め、感受性の改善、すなわち、TBCEとCITED2は薬剤耐性遺伝子である可能性が示唆された。 また、siRNAを用いる場合、遺伝子導入が問題となる。我々は、DNAとポリカチオンとの高分子電解質複合体を用いたシステムを開発中である。ポリカチオンとして、弱塩基性の高分子でありプロトンスポンジ効果を持つポリエチレンイミンを用い、遺伝子治療においてプラスに帯電したDNA/ポリカチオン複合体と血清蛋白との凝集を阻止するカルボキシル側鎖を持つアニオン性PEG誘導体(PEG-C)を用いて複合体の表面をコートし、DNAとの新規ポリイオン複合体を形成し、癌細胞への遺伝子導入を試みた。また、インフルエンザウイルスの解析に基づき合成されたpH依存性の膜融合ペプチドであるJTS-1を加え、その遺伝子導入効果についても検討した。ポリエチレンイミンを用いた遺伝子導入において、1x10E9の遺伝子導入効率を認めたが、PEG-Cを加えることによりさらに3倍の導入効率の増加を認めた。PEG-Cにより複合体の縮小化および安定化が生じ、細胞内への導入が容易になった。さらに、JTS-1を加えることによりリソソームの分解を回避し細胞質内へ効率良く遺伝子を導入できること、また、Lactoseで修飾したPEG-Cを用いることにより(6x10E9)、糖鎖認識による取り込み機構により選択的な遺伝子導入増加が期待できることがわかった。さらに胃癌担癌マウスにおいて腫瘍内局注にてβ-gal遺伝子の発現増加を認めた。
|