2005 Fiscal Year Annual Research Report
埋め込み型医用機器使用時の感染防御に有用な新規皮膚貫通部被覆デバイスの開発
Project/Area Number |
17659436
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
巽 英介 国立循環器病センター(研究所), 先進医工学センター研究評価室, 室長 (00216996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
妙中 義之 国立循環器病センター(研究所), 人工臓器部, 部長 (00142183)
武輪 能明 国立循環器病センター(研究所), 人工臓器部, 室長 (20332405)
本間 章彦 国立循環器病センター(研究所), 人工臓器部, 室員 (20287428)
築谷 朋典 国立循環器病センター(研究所), 人工臓器部, 室員 (00311449)
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Keywords | 皮膚貫通部被覆デバイス / 埋込型人工臓器 / 高分子多孔体 / ドライブライン感染症 |
Research Abstract |
近年,種々の埋込型人工心臓システムの臨床応用が進められている.しかし,ドライブライン皮膚貫通部からの経皮感染に対しては,十分な対策がなされているとは言い難い.本研究では,かかる経皮感染の防止を目的として,新規開発の組織親和性素材を用いた皮膚貫通デバイスを考案し,動物実験による長期評価を行った.新規開発素材は,セグメント化ポリウレタンからなる三次元網状構造を有する多孔体である.新規皮膚貫通デバイスは,この開発素材を使用した楕円状の三層フランジ形状を有し(10 cm x 8 cm),ドライブラインの皮膚貫通部に外科的に設置される.このフランジ部の最下層は組織浸潤性を重視した大孔径の多孔体で,表皮への血流を阻害することなく皮下組織と一体化する.またやや小孔径の多孔体で作られる中間層は,表皮との接着およびダウングロース抑制の役割を担う.さらに無孔質パッドからなる最上層は,汚染されやすいドライブラインをフランジ外縁の皮膚接合部から隔離すると共に,ドライブラインへの外力を吸収し,創部を保護することを目的としている.長期動物実験では,体重60 kgの成ヤギ1頭を用い,2個の試作モデルを体壁2カ所に外科的に植え込んだ.術後急性期を除き,消毒・ドレーピング等は全く行わなかった.試作モデルのうち1個は術後6ヶ月に摘出して病理的検索を行い,また他の1個については植え込み後16ヶ月の現在も実験継続中である.2個の試作モデルは,ともに実験期間を通じて局所感染は全く認めず,またドライブラインへの相当な外力負荷に対しても皮膚からの剥離等の傷害を生じることはなく,強固な癒着を維持し得た.6ヶ月後の病理学的検索では,フランジ内に成熟した肉芽組織浸潤および血管新生が観察された.以上より,本皮膚貫通デバイスは埋込型人工心臓のドライブラインを長期間安全に維持するための有用な手法となる可能性が示された.
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Research Products
(1 results)