2005 Fiscal Year Annual Research Report
選択的アルファ線照射による脳血管形成術後の再狭窄予防に関する基礎的研究
Project/Area Number |
17659438
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松村 明 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (90241819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 哲哉 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (30375505)
柴田 靖 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (50400685)
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Keywords | BNCT / 血管狭窄 / α線 / 中性子 / ステント / 血管内治療 |
Research Abstract |
【背景および目的】動脈硬化による脳血管狭搾は、脳梗塞の原因として重要で、その治療は脳梗塞の予防に効果的である。これらに対するカテーテルを用いた血管内治療では頭蓋内血管、頸部頸動脈に対する血管形成術が施行されるようになったが、治療後数ヶ月で生じる再狭窄という現象が問題となっている。本研究の目的は、ホウ素の同位体と熱中性子の両者の捕獲反応によって生じる、きわめて飛程距離の短いアルファ線を利用した新しい再狭窄予防法の開発である。【方法】まず正常ラットにホウ素化合物であるBSH(100mg/kg)またはボロノフェニィルアラニンBPA(250mg/kg)を静脈内投与し、1,2,3時間後の大動脈、大静脈をふくむ主要臓器のホウ素濃度について、ICP-MAS法により測定を行った。次に、ラット腹部大動脈に切開を加えバルンカテーテルを挿入、Inflation and rotationの手技を加え血管狭窄モデルを作成し、ホウ素化合物BSHおよびBPAの狭窄部組織への移行、血管内径、外径、内膜肥厚、平滑筋等につき定量的に評価を行った。【結果】BSH投与後血中ホウ素濃度は急速に低下し、これに伴い動脈、静脈組織濃度も低下したが、同じ時間での濃度は動脈で最も高く、ついで血液、静脈の順であった。これに対しBPAでは血液と比して動脈、静脈でホウ素濃度が高く、組織内濃度のピーク値は1時間で観察された。【考察】再狭窄に対してα線治療を行う場合、周囲正常血管への中性子照射による影響が問題となる。本研究結果からBPAを用いた場合のホウ素濃度の血液/動脈比は2時間が最も高く、中性子照射による血管組織障害が生じやすい。狭窄部組織のホウ素絶対濃度、病巣周囲組織、血管組織ホウ素濃度のより詳細な検討により、ホウ素化合物の至適投与量、照射タイミング、照射時間のを決定することでα線による狭窄部治療が実現しうるものと考えられた。
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