2006 Fiscal Year Annual Research Report
選択的アルファ線照射による脳血管形成術後の再狭窄予防に関する基礎的研究
Project/Area Number |
17659438
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松村 明 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (90241819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 哲哉 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (30375505)
柴田 靖 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (50400685)
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Keywords | BNCT / 血管狭窄 / α線 / 中性子 / ステント / 血管内治療 |
Research Abstract |
【背景および目的】 動脈硬化による脳血管狭窄は、脳梗塞の原因として重要である。本疾患に対する血管内カテーテルによる血管形成術が施行されるようになったが、治療後数ケ月で生じる再狭窄に対する治療法の確立が求められている。本研究の目的は、ホウ素の同位体と熱中性子の両者の捕獲反応によって生じる、きわめて飛程距離の短いアルファ線を利用した新しい再狭窄予防法の開発である。 【研究実績】 再狭窄の主体は新生内膜増殖とされており、実験ではラットの血管内皮損傷後におこる新生内膜増殖モデルを作成し、中性子線照射による内膜増殖抑制効果について評価を行った。 1.血管内膜損傷部位への各種化合物取り込み評価の基礎実験 バルーン血管拡張による血管内皮損傷を行ったラット頸動脈に対し、ホウ素化合物(BPA, BSH)を投与し、損傷血管および周囲正常組織への取り込みを計測した。BSHでは周囲の静脈組織や対側正常動脈と比較し損傷動脈組織内ホウ素濃度が高く、投与後1時間でピーク値となることがわかった。一方BPAの組織内ホウ素濃度は損傷動脈組織内よりも対側正常動脈の方が高い値となった。これらの結果から、血管内皮損傷部位へのターゲッティングにはBSHがより適していることが示唆された。 2.血管損傷モデル動物における照射実験 血管内皮損傷ラット日本原子力研究所実験炉において、中性子線を頸動脈内皮損傷部位に照射した。投与薬物はBSH, BPAを用い、投与量、時間については取り込み評価の基礎実験結果により決定した。照射量については、基礎実験としてガンマ線照射による内膜増殖抑制効果の評価を行い、その結果をもとに照射計画を作成した。また、中性子線照射専用のラット固定器を新たに作成した。今回6匹のラットに対し照射を行い、効果判定を行う14日後まで生存したのは1匹のみとなったが、このラットの新生内膜増殖は抑制されていた。今後の課題としては照射中の固定器内環境管理、至適照射線量の検討、血管内皮損傷部位へのターゲッティングに適する新たなホウ素化合物(ホウ素ポルフィリン、新規化合物)の検討が挙げられる。 3.ホウ素化合物の開発 増殖型血管平滑筋の培養細胞を用いて、ホウ素ポルフィリンの血管組織取り込み能について、新生内膜増殖時に活発となる増殖型血管平滑筋細胞への親和性を平滑筋細胞内ホウ素ポルフィリン蛍光で確認した。今後血管内皮損傷ラットを用いぐターゲッティング薬物としての有効性を検証する。
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[Journal Article] Analysis of intracellular distribution of boron and gadolinium in 9L sarcoma cells using a single-ended accelerator (Micro PIXE)2006
Author(s)
K Endo, K Nakai, Y Yamamoto, Y Shibata, A Matsumura, K Ishii, T Sakai, T Satoh, M Oikawa, Y Ohara, H Kumada, K Yamamoto
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Journal Title
JAEA-Review 2005-001
Pages: 316-317
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