2006 Fiscal Year Annual Research Report
悪性脳腫瘍における糖蛋白糖鎖A_2G_2Fを分子標的とした診断、治療法の開発
Project/Area Number |
17659441
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
山中 龍也 久留米大学, 先端癌治療研究センター, 教授 (20323991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池中 一裕 久留米大学, 自然科学研究機構・生理学研究所, 教授 (00144527)
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Keywords | malignant brain tumor / 糖蛋白糖鎖 / A_2G_2F / LCAレクチン / 分子標的療法 |
Research Abstract |
我々は悪性脳腫瘍組織および細胞におけるN結合型糖鎖を自動化、簡易化されたHPLCシステムを用いてN結合型糖蛋白質糖鎖の網羅的解析を行い、biantennary bigalactosylated structure with one outer arm fucosylation (Gal β1,4-GlcNAcβ1,2-Manα1,3-) (Galβ1,4-GlcNAcβ1,2-Manα1,6-) Manβ1,4-GlcNAcβ1,4-(Fucα1,6-) GlcNAc,以下A_2G_2F)という糖鎖が正常脳組織には発現せず、悪性神経膠腫組織に特異的に発現していることを明らかにした。更に、A_2G_2Fに特異的に結合するLCAレクチンが神経膠腫培養細胞および組織の腫瘍細胞と特異的に結合し、さらに腫瘍細胞にcaspase依存的アポトーシスを誘導することを明らかとした。 現在、A_2G_2Fに特異的に結合するLCAレクチン或いは抗体を用いてTargeting化学療法、免疫療法、またisotopeなどを用いてin vivoで腫瘍のimagingが可能か等、検討を進めている。また、A_2G_2Fの髄液中、血液中での値を測定することにより、神経膠腫の診断が可能かどうか検討を進めている。 今後、悪性神経膠腫に特異的なマーカー分子が明らかとなり、この分子を用いた分子診断、分子標的治療の発展が期待される。LCAレクチン或は抗体に抗癌剤、immunotoxinなどを包合することにより薬剤を病巣局所に集約させ生体の有害事象を最小限に食い止められる可能性がある。また、糖鎖の異常と腫瘍の病態病理に関する知見が得られる可能性がある。糖蛋白糖鎖の研究は、脳腫瘍研究にブレークスルーを与える可能性が期待される。
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Research Products
(12 results)