2006 Fiscal Year Annual Research Report
磁性体・抗がん剤同時封入温度感受性血中滞留型リポソームを用いた温熱化学療法の開発
Project/Area Number |
17659454
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
継 淳 東海大学, 医学部, 講師 (30266415)
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Keywords | 温度感受性ステルスリポソーム / 温熱化学療法 / 脳腫瘍 / ドキソルビシン |
Research Abstract |
昨年度は磁性体・抗がん剤同時封入温度感受性血中滞留型リポソームを用いた温熱化学療法実験の対象実験モデルを作成しこの実験系の妥当性が証明された。本年度は最初に温度感受性ステルスリポソームに抗がん剤を封入したものを作成し、この動物モデルへ投与し薬物動態をみた。わたしは、passive targetingを期待した血中滞留型リポソーム(ステルスリポソーム)に注目し、これにさらに温度感受性(相転移温:42℃)をもたせるべく構成脂質濃度の割合をいくつかふった処方を作成した。そしてこのリポソーム内にDoxorubicin(DXR)をpH remote loading法により封入させ調製した。in vitroでの評価により37℃、45℃の生理食塩水や、37℃のラット血漿中ではほとんどDXRが放出されず、45℃の血漿中でのみ速やかに放出される処方(DXR-TSL)をまず確立した。さらにこのDXR-TSLを昨年度開発した動物実験モデル(ヒト大腸癌皮下移植ヌードマウス)に全身投与し、体内薬物動態を検討した。結果、このDXR-TSLは、1)細網内皮系への取り込みが回避されすぐれた血中滞留性を持つこと2)腫瘍局所を加温することで腫瘍組織内DXR量が非加温群より30倍集積する、という期待通りの薬物動態を示すことを確認した。次にこのDXR-TSLを担癌マウスに全身投与し腫瘍局所に温熱をかける群と加温しない群、さらにDXR単独投与群、薬剤投与せず局所加温のみ行う群、そしてコントロールとしてのみ処置群にわけそれぞれ治療効果を判定すべく3週間の腫瘍増殖曲線を比較した。するとDXR-TSLを投与しかつ局所加温を加えた群がもっとも強い腫瘍増殖抑制効果を示すことがわかった。次年度はこのDXR-TSLにMRI造影剤であるGdを同時封入させたリポソームに進化調整させ素の有効性をみていきたい。
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