2005 Fiscal Year Annual Research Report
小児骨折での骨変形自然矯正機構の解明(ホメオボックス遺伝子の役割)
Project/Area Number |
17659477
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
高岡 邦夫 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (30112048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北野 利夫 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (50291597)
寺井 秀富 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (20382046)
橋本 祐介 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 後期臨床研究医 (10382178)
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Keywords | 遺伝子 / 変形矯正 / ホメオボックス / 骨折 |
Research Abstract |
4週齢、ICRマウスの右脛骨を直視下に骨幹部骨折させ、26G針にて髄内固定を施行。骨折後、0・1・3・5・7・10・14・21・28日後に、骨折部を中心に約5mmの長さで骨折部周辺組織を回収し、RNAを抽出。各群N=10とした。抽出したRNAを鋳型として、逆転写の後、ホメオボックス遺伝子であるTbx4・Tbx5・Pitx1・HoxA10・HoxD10・HoxA11・HoxD11のTaqman Probeを用いてReal time PCRを行い、各遺伝子のmRNA発現を定量的に評価した。結果、骨折後3日目におけるPitx1遺伝子の発現のみが、骨折直後と比較して統計学的に有意な上昇を認めたが、その他の遺伝子の発現量は上昇を認めず、時間経過と共に減少していく傾向を示した。これらの遺伝子発現量の減少より、元来ホメオボックス遺伝子が四肢形成をつかさどり、胎生期に発現している遺伝子であることを考えた場合、出生後の時間経過と共に、四肢における発現量自体が減少している可能性があると考え、同週齢における非骨折組織から抽出したRNAを対照とする必要があると考えられた。そこで、前述と同様に骨折モデルマウスを作成し、骨折を伴わない左脛骨を対照群とした。骨折後0・1・3・5・7・10・14日後に骨折部および左脛骨骨幹部を採取し、RNAを抽出した。各群N=5とした。前述と同様にReal time PCRを施行し、評価した。同一個体の非骨折部を対照とした結果、発現量のピークが異なり、骨折後7日目にPitx1遺伝子の発現量が約25倍と上昇した。その他の遺伝子発現は変化を示さなかった。 同様の骨折モデルにおいて、Pitx1遺伝子の発現局在を、In situ hybridization法を用いて評価した。結果、骨折部周辺に形成された仮骨における肥大化した軟骨細胞にPitx1遺伝子の発現を認めた。 Pitx1遺伝子は、胎児期において下肢形成に重要な役割を果たす遺伝子である。今回の結果から下肢骨骨折においてPitx1遺伝子の発現の上昇を骨折後7日後の仮骨内軟骨細胞に認めたが、この現象が下肢に特異的であるかどうかは不明であるため、今後上肢及び体幹(肋骨)における骨折モデルを作成し遺伝子発現を定量的に評価する必要があり、計画中である。
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Research Products
(19 results)