2006 Fiscal Year Annual Research Report
全身麻酔薬・鎮静薬による中枢性呼吸抑制機序:膜電位イメージングによる動画像解析
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17659494
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Research Institution | Kitasato Institute |
Principal Investigator |
柏木 政憲 (社)北里研究所, 北里研究所病院, 研究員 (10245508)
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Keywords | 全身麻酔薬 / プロポフォール / 中枢性呼吸抑制 / 新生ラット摘出脳幹-脊髄標本 / 呼吸中枢 / 膜電位感受性色素 |
Research Abstract |
平成18年度は、平成17年度に確立した方法論にもとづいて、静脈麻酔薬プロポフォールの新生ラット延髄呼吸中枢に対する影響を、膜電位イメージング法による動画像として計測した。 摘出脳幹脊髄標本を膜電位感受性色素Di-2-ANEPEQで染色し、Brain Vision社製MiCAM01を用いて、光学イメージング法により自発呼吸リズム形成活動に伴う腹側延髄の膜電位変化を計測した。同時に第4頸髄前根から運動ニューロンの吸息性活動を記録した。なお、灌流槽の水位の変化が記録に大きく影響を及ぼすため、循環溶液制御装置を導入してこれを安定させた。 外液灌流により投与したプロポフォールは、第4頸髄前根の吸息性活動の頻度を減少させた。延髄においては、腹外側延髄における吸息先行型ニューロン群の活動を有意に減少させたのに対し、吸息性ニューロン群の活動は減少させなかった。GABA-A受容体拮抗薬ビククリンにより、吸息先行型ニューロン群の活動は有意に回復し、この抑制にはGABA-A受容体が関与することが示唆された。吸息先行型ニューロン群の活動と第4頸髄前根の吸息性活動の頻度の増減には平行関係が認められ、プロポフォールが呼吸リズム形成の一次ペースメーカーである前者の活動を抑制することにより、ネットワーク全体の出力が抑制されることが示唆された。 なお、この研究結果につき、第176回北里研究会(平成19年3月14日、東京)で報告した。 今年度の研究活動を通じて、光学的測定ではプロポフォールの各呼吸性ニューロンへの微細な影響をとらえにくい感触を得たため、ペッチクランプ法による吸息先行型ニューロンの膜電位記録も並行して行ない、光学的測定のデータ解釈に役立てようと努めている。
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