2005 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白分解からみた前立腺肥大と前立腺癌発症における異なった増殖制御機構の解明
Project/Area Number |
17659497
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浦野 友彦 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (20334386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 悟 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (50197141)
井上 聡 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40251251)
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Keywords | 前立腺 / 蛋白質 / 細胞周期 / ホルモン |
Research Abstract |
高齢男性において発症する、増殖性の疾患である前立腺肥大と前立腺癌との増殖制御機構の違いに関しては未だ十分な理解がなされていない。申請者らはこの異なった増殖制御機構原因となりうる候補遺伝子として第一にEBAG9を同定した。EBAG9は前立腺肥大においては低発現であるが前立腺癌においてその発現が劇的に亢進し、悪性度に伴いその発現が増加することを申請者らが見出している。EBAG9は前立腺癌ばかりでなく腎癌でも同様に悪性度に伴いその発現が上昇し、さらにEBAG9を過剰発現させた細胞株はin vivoにおいて増殖能を獲得することを発見した(Cancer Res,65,3700-3706,2005)。 申請者らはさらに両疾患における異なった増殖制御機構原因となりうる候補遺伝子として14-3-3σを同定した。14-3-3σは細胞周期の負の制御因子として知られているが、その発現は前立腺肥大における上皮細胞においては亢進しているが、前立腺癌においてはその発現が激減することを申請者らは見出している。申請者らは細胞増殖を誘導する遺伝子Efpが、この14-3-3σの蛋白分解を誘導することを発見している。さらに、実際にヒト乳癌組織においてEfpと14-3-3σの発現を検討したところ、この両者は逆相関し、さらにEfpは乳癌の予後を規定する独立した因子であることを見出した(Clin Cancer Res,11,6148-6154,2005)。したがって乳癌同様、前立腺癌においてもEfpが14-3-3σの発現を制御している可能性が示された。このような14-3-3σにおける蛋白分解を中心とした発現制御機構をはじめとする前立腺肥大と前立腺癌における異なった細胞増殖制御機構が示唆された。
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Research Products
(3 results)