2006 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠障害モデルを用いた夜間多尿に関する内分泌学的、分子生物学的研究
Project/Area Number |
17659499
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
横山 修 福井大学, 医学部, 教授 (90242552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 吉司 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (10209968)
塩山 力也 福井大学, 医学部, 助手 (60345676)
松田 陽介 福井大学, 医学部, 助手 (90345687)
伊藤 秀明 福井大学, 医学部, 助手 (00345620)
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Keywords | 夜間頻尿 / メラトニン / 睡眠 / 日内リズム / GABA / 排尿 / 尿産生 |
Research Abstract |
睡眠障害を改善すれば、尿産生の日内リズムは改善するのであろうか。われわれは睡眠導入剤を経静脈的、あるは脳室内への投与を行い、尿産生リズムと膀胱容量について検討した。その結果、脳梗塞を作成したラットでは膀胱容量の有意な増加と、その増加が脳GABA_A受容体を介していることが解明された。また尿の産生は睡眠導入後減少することが観察された。この減少は、内分泌学的検討により抗利尿ホルモン(ADH)の分泌増加を伴っていないこと、またANPやBNPなどの利尿ペプチドも無関係であること、さらにアルドステロンの分泌増加を伴っていることが解明された。 次に生理的睡眠物質であるメラトニンについて検討した。メラトニンは松果体より日内リズムに従い放出されるホルモンで、夜間入眠時に放出され、自然睡眠をもたらす。われわれはラット脳室内投与を行い、排尿反射や、尿産生リズムへの影響を検討した。その結果、正常ラットの膀胱容量を著明に増加させ、その増加は脳GABAA受容体を介していることが解明された。また、尿量の減少を伴っており、これはADH、ANP、BNPを介していないことが解った。睡眠障害のモデルとして一般的に認知されたものはないが、脳血管障害は睡眠障害となることが知られている。そこで脳梗塞ラットを用い、メラトニン受容体サブタイプMT1とMT2に親和性の高いTAK375を用い排尿反射や尿産生リズムへの影響についても同様の検討を行った。TAK375は正常ラットの膀胱容量は増加させないが、脳梗塞になり低下した膀胱容量は著明に増加させることが判明した。すなわちメラトニンの膀胱容量増大効果はMT1とMT2受容体を介していない、しかし、メラトニンのGABA_A受容体結合部位を介して排尿反射を抑制すること、また脳梗塞ではMT1とMT2の何らかの変化(感受性?)により排尿反射への影響が出てくるものと考えられた。さらにTAK375には尿産生リズムには影響を与えない結果も得られた。ではなぜメラトニンが尿産生に影響するのか、現時点では不明であるが、このメカニズムの解明は、メラトニンの夜間頻尿治療薬の可能性を追求するものであり、大変興味深い。
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[Journal Article] Acetylcholinesterase inhibitor acting on the brain improves detrusor overactivity caused by cerebral infarction in rats.2006
Author(s)
Nakai M, Akino H, Kaneda T, Matsuta Y, Shiyama R, Tanase K, Ito H, Aoki Y, Oyama N, Miwa Y, Yokoyama O
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Journal Title
Neuroscience 142
Pages: 475-480
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