2005 Fiscal Year Annual Research Report
着床期マウス子宮内膜に分布する肥満細胞の機能に関する検討
Project/Area Number |
17659514
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高倉 賢二 京都大学, 医学研究科, 助教授 (10221350)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 壽宏 京都大学, 医学研究科, 講師 (00283614)
藤井 信吾 京都大学, 医学研究科, 教授 (30135579)
|
Keywords | 着床 / 肥満細胞 / ヒスタミン / 子宮内膜間質細胞 / 脱落膜化 / BDNF |
Research Abstract |
1.ヒスタミンが着床に及ぼす影響 子宮には肥満細胞が特に豊富に存在し、肥満細胞が着床に関与している可能性がある。ヒスタミンは肥満細胞が分泌する代表的な生理活性物質であり、実際子宮内膜にはヒスタミン受容体が存在する。そこでヒスタミンが着床に及ぼす影響を検討した。 ICRマウスから胚盤胞を採取し、8〜10週齢の同系偽妊娠マウスに胚と各種生理活性物質との子宮内膜内共移植を行った。生理活性物質はヒスタミン、プロスタグランジンE2、プロゲステロン、hCGについて検討したが、ヒスタミンとの共移植でDay2受卵雌の着床率が有意に改善した。マウス子宮内膜間質細胞培養系および胚培養系による検討で、ヒスタミンは脱落膜化の過程および胚発育に何等影響しなかった。一方、胚・ヒスタミン共移植後の子宮内膜には著明な間質の浮腫が認められた。以上より着床率改善の機序はヒスタミンによる脱落膜化修飾作用あるいは胚発生促進効果を介したものではなく血管透過性亢進の機序を介した局所環境の変化によるものと考えられた。 2.Brain-derived neurotrophic factor(BDNF)の発現分布と着床との関連 マウス胚と子宮内膜間質細胞との共培養実験系を用いて胚によって子宮内膜間質細胞での発現が抑制される遺伝子群の中にBDNFが含まれることを発見したので、BDNFの子宮における発現分布を検討したところ、子宮に存在する肥満細胞と子宮内膜上皮細胞に免疫染色されるBDNF蛋白を認めた。また、妊娠脱落膜においてBDNFの発現は減弱した。不死化子宮内膜上皮細胞培養系を用いた検討では、BDNF分泌量はエストロゲン添加により亢進し、エストロゲン・プロゲストーゲン添加により抑制された。これらのことから、BDNFが着床現象において何らかの役割を果たしていることが示唆され、さらに検討を進めている。
|
Research Products
(1 results)