2005 Fiscal Year Annual Research Report
正常妊娠絨毛上皮不死化細胞株を用いた子宮内胎児発育遅延に対する分子標的療法の検討
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17659523
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
杉浦 健太郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (30277040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 愛光 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20204026)
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Keywords | cDNAマイクロアレイ / IUGR / IGFBP1 / Follistatin / 絨毛上皮細胞 / 不死化細胞株 |
Research Abstract |
(1)IUGRの病態を遺伝子レベルで解明するために二絨毛膜性Discordant twinの胎盤を用いてcDNAマイクロアレイ解析を行い、IUGR胎盤の9121遺伝子の発現プロフィールを検索した。その結果、IUGR胎盤においてIGFBP1とFollistatin like 3遺伝子の発現がAGA胎盤のそれに比較し、20.7倍、13.1倍と有意に高く、他の遺伝子の発現比はすべて2.6倍以下であった。単胎IUGR症例胎盤4例およびAGA症例胎盤4症例からTotal RNAを抽出し、IGFBP1, Follistatin like 3両遺伝子発現をRT-PCR法で検索した。IGFBP1遺伝子の発現はすべてのIUGR胎盤に認められたが、AGA胎盤2症例で消失、ほかの2症例では減弱していた。Follistatin like 3遺伝子の発現はすべてのIUGR胎盤に認められたが、すべてのAGA胎盤で減弱していた。IGFBP1、Follistatin like 3がそれぞれ制御するIGF1, Activinは細胞の増殖、分化、アポトーシスに関与する報告が蓄積されている。以上よりIUGRの発生機序にIGFBP1とFollistatin like 3が重要な役割を果たす可能性が示唆された。 (2)インフォームドコンセントを得た正常妊娠絨毛上皮細胞にE6/E7/hTERT遺伝子を導入し、正常核型の正常絨毛上皮不死化細胞株を樹立した。免疫細胞学的検討によりhCG陽性、alpha-inhibin陽性であり、この絨毛上皮はsyncytiotrophoblast由来であることが判明した。さらにヌードマウスに接種したところ100日を経過した段階で腫瘍原性は認められていない。今後この正常絨毛上皮不死化細胞株にIGF1, Activinの両増殖因子を投与し、形態的、機能的また遺伝子レベルでの変化を検討する予定である。
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