2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞死抑制蛋白による内耳障害の新しい治療法(蛋白治療)の開発
Project/Area Number |
17659527
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山岨 達也 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (60251302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛尾 宗貴 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (70361483)
太田 成男 日本医科大学, 老人病研究所, 教授 (00125832)
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Keywords | ゲノム / 薬剤反応性 / 内耳 / 蝸牛 / 難聴 |
Research Abstract |
細胞死を防御する蛋白質を投与して、内耳障害の予防・治療に応用する蛋白治療を開発した。ミトコンドリアからのチトクロームcの放出を抑えるBcl-XLの三つの水素結合を除去したanti-apoptotic蛋白(FNK)を作成し、これにHIV/Tat蛋白のProtein Transduction Domain(PTD)をくっつけて細胞内に導入できるようにした(FNK-PTD)。まずこの蛋白にmycをtagとして付けたものをモルモットの腹腔内投与し、1-6時間後に断頭し、蝸牛を固定し、パラフィン切片を作成した。その後Myc抗体を用いた免疫染色により蝸牛での発現について検討した。その結果、投与1時間後からこの蛋白は蝸牛内に出現し、3時間後に発現量がピークとなり、6時間後には著明に減少することがわかった。発現部位は、主にコルチ器、ラセン神経節であった。つぎにFNK-PTDが蝸牛有毛細胞の細胞死を予防できるかどうか検討した。カナマイシン((1)200mg/kg、または(2)400mg/kg)およびエタクリン酸((1)40mg/kgまたは(2)50mg/kg)によりモルモットの蝸牛有毛細胞を広範に障害し、この前後にFNK-PTDまたは生食を投与した。1週間後ABRを測定し、断頭後蝸牛を固定し、surface preparationにより残存有毛細胞の数をカウントした。その結果FNK-PTD投与群では(1)および(2)のどちらの障害においても有意にABR閾値の上昇を抑制し、内外有毛細胞ともに有意に細胞死を抑制した。また(2)の条件で障害8時間後にcPARP陽性細胞を調べるとFNK-PTDにより有意に減少していた。この結果はFNK-PTDが蝸牛に発現して、耳毒性薬剤による有毛細胞の細胞死を抑制することを示している。
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Research Products
(1 results)