2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17659534
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山下 裕司 山口大学, 医学部, 教授 (00210419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下郡 博明 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (70226273)
菅原 一真 山口大学, 医学部, 助手 (20346555)
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Keywords | 嗅覚 / 実験動物 / マウス / 嗅球除去 / 刺激臭 / 行動解析 |
Research Abstract |
我々が平成16年度の日本鼻科学会において初めて報告したマウスの刺激臭に対する行動をコンピューター解析にて評価する方法を用いた。この方法は一般の研究室でも,市販の機材を用いて,短時間に評価を行えること,動物に無侵襲であるため繰り返し検査が可能であることが特徴である。今回は,この手法を確立する目的で,嗅球除去手術を行った嗅覚障害マウスに対して,嗅覚評価を行った。野生型ICRマウス(6-8週令,雄)の背部に直径2cmの反射板を粘着剤で貼付し,赤外線照明下にマウスの行動を3分間記録した。換気装置付きで防音の暗室に撮影用ケージ(四隅に綿球を固定する)を用意し,綿球のひとつを刺激臭を伴う化学物質を含む綿球(例えば40%酢酸)と交換した。3分間,マウスの行動を記録し,記録された動画を,NIHイメージで解析し,動物の酢酸綿球の付近での滞在時間を検討した。嗅覚が正常と考えられる実験動物は,刺激臭綿球の区画での滞在時間が有意に減少していた。この減少は,慣れが存在しないことが確認され,経時的な実験動物の嗅覚評価法として使用できることが明らかになった。嗅球除去動物は,マウスを腹腔内麻酔下に嗅球除去手術を行うことで作成した。嗅球除去された動物は,嗅覚機能が永久に障害されることが既に明らかにされている。これらの動物に対して今回の方法で嗅覚を評価したところ,刺激臭綿球の区画での滞在時間は,その他の区画と同じであった。以上の実験結果は,我々の実験動物に対する嗅覚評価法が,有効であることを証明するものであると考えられた。これらの結果は,第17年度の日本鼻科学会(国内),The Association for Research in Otolaryngology(米国,メリーランド州)で報告した。
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