2006 Fiscal Year Annual Research Report
角膜血管新生に対する高分子ナノミセルを用いたドラッグデリバリーシステムの開発
Project/Area Number |
17659543
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉崎 顕史 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (40361480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼井 智彦 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (80282557)
山上 聡 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (10220245)
天野 史郎 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (80193027)
片岡 一則 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (00130245)
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Keywords | 角膜 / ドラッグデリバリー / 光力学療法 / 血管新生 / ナノテクノロシー |
Research Abstract |
目的:様々な刺激や侵襲により血管の進入した角膜は透明性が困難であり、その抑制退縮を可能にする新たな治療法の開発が望まれているのが現状である、本研究ではナノテクノロジーを応用した光感受性物質、デンドリマーポルフィリン(DP)及びDPをpolymericミセルに内包したもの(DPミセル)を開発し、角膜血管新生部位へのドラッグデリバリーとそれを用いた角膜血管新生に対する光力学療法の効果を判定した。 方法:マウスの角膜に10-0ナイロン糸を通糸し角膜に血管新生を誘導したモデルに対し、DP単体及びDPミセノンを10mg/kgでそれぞれ静脈注射。投与後それぞれ1,4,24,168時間後に眼球を摘出し、角膜新生血管周囲のDP及びDPミセルの傾向を測定した。 次に同様のマウスモデルに対しDP単体及びDPミセルを投与24時間後に波長438nmのダイオードレーザーを10または50J/cm2で照射。レーザー照射前および7日後に蛍光血管造影を行い角膜血管真性領域の定量化を行い、光力学療法の効果を判定した。 結果:DP単体、DPミセルは共に投与後1時間から角膜血管真性領域に集積し始め、24時間まで蛍光強度は増強したが、いずれの時間でもDPミセルに比しDP単体では集積が悪かった。また、正常血管領域にはDP、DPミセルのいずれも認めなかった。 光力学療法後の角膜新生血管の残存率は10J/cm2の照射ではDPミセルで10.1%、DP単体で21.6%と有意にDPミセル群で効果が高かったが(P<0.01)、50J/cm2の照射ではDPミセルで10.6%、DP単体で13.7%と2群で有意差は認められなかった(p>0.05)。 いずれの群でもコントロール郡に比べて有意な血管の消退は認められたが、エネルギー量と血管の消退量の有意な相関はみられなかった。 以上より、DP及びDPミセルは角膜血管新生の退縮に有用であると考えられた。
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