2006 Fiscal Year Annual Research Report
損傷臓器の治癒再生を促進する分泌性タンパク質の解析
Project/Area Number |
17659565
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
原 孝彦 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 副参事研究員 (80280949)
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Keywords | FRP2 / BRAK / 筋再生 / マクロファージ / 幹細胞 |
Research Abstract |
筋ジストロフィーモデルマウスmdxでは、壊れた骨格筋繊維がただちに再生するため、筋ジストロフィー患者でおこる加齢依存的な運動能の重篤な低下には至らない。我々は、mdxマウスでは損傷臓器の治癒再生を促進する分子機構が働いているとの仮説を立て、mdxマウス骨格筋でが発現高進している分泌性タンパク質として、Frizzled related protein 2(FRP2)、およびマクロファージ走化性因子BRAKを同定した。FRP2はハブ毒注射により破壊された骨格筋の再生過程で大きく発現誘導され、さらにsiRNAを用いて筋芽細胞内のFRP2発現をノックダウンしたところ、急速な細胞死がおこった。したがって、FRP2タンパク質を損傷部位に投与することは、局所的な幹細胞・前駆細胞のプールを増加させ、結果として治癒促進につながる可能性がある。しかし、FRP2遺伝子のトランスジェニックマウスの筋再生能はコントロールマウスと差がなかった。筋損傷によって十分量の内在性FRP2が局所的に誘導されているものと推察される。一方、BRAK-KOマウスとmdxマウスとの2重変異マウスを作出したところ、このマウスでは血中クレアチンキナーゼ(CK)値がmdxマウスより低下していた。しかし、物理的な筋再生モデル実験においては、BRAK-KOマウスの筋再生能に変動はなく、骨格筋内のマクロファージ数にも顕著な差が観察されなかった。BRAK-KOマウスは特に雌においてコントロールマウスより体重が軽いため、CK値の低下はむしろ個体のエネルギー代謝と関連している可能性が高い。現在詳細な解析を続行している最中であるが、BRAKの生理的役割の解明は、個体のホメオスタシスにおけるマクロファージ系ケモカインの新しい機能解明につながると期待される。
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Research Products
(4 results)