2005 Fiscal Year Annual Research Report
腹部内臓血行動態と蘇生後臓器機能障害との関連からみた新しい心肺蘇生法の開発
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17659569
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉本 壽 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90127241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 健太郎 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60379203)
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Keywords | 腹部内臓血流 / 心肺蘇生法 / PCPS(経皮的心肺補助法) |
Research Abstract |
腹部内臓血流のPCPSによる早期再開、蘇生後の腹部臓器障害を検討するために以下の研究をすすめた。 (2)PCPS(経皮的心肺補助)の早期導入のためのアルゴリズムの導入 PCPSを導入する基準は確立されたものはなく、現場で悩むことも多く一定の基準を作ることが重要と考えアルゴリズムを作成した。PCPSを導入する条件として、VT(心室頻脈)VF(心室細動)が3回の除細動でも戻らない場合、収縮期血圧が90mmHg以下が15分以上持続する場合、自発呼吸など生命徴候が残存している場合を主な適応とした。これによって、PCPS導入症例は過去一年間とアルゴリズム導入後1.5年を比較すると、導入前の38%(9/24)から導入後は91%(21/23)とより確実に導入することができるようになった。 アルゴリズム導入後の生存退院は、PCPS導入症例では38%(8/21)であり、心停止症例全体でみると9%(7/80)から25%(14/56)へと増加した。以上よりPCPS早期導入のためにアルゴリズム導入は有効と考えられた。(第33回日本救急医学会総会発表) (2)蘇生後の下痢、腸管透過性亢進 蘇生後の虚血再潅流のためほとんどの症例で下痢が発生しており、PCPSによる効果を検討している。 (3)胸骨圧迫式心マッサージ時の臓器血流分布 胸骨圧迫式心マッサージ時においては、肝臓をはじめとする腹部内蔵へは静脈から動脈への逆向性血流が生じることが十分に予想される。実際に、心マッサージ中に造影剤を使用してCT撮影を行うことによって、肝静脈、腎静脈への逆向性の血流が生じることを確認した。腹部内臓は温阻血状態にあると考えられ、PCPSによる早期の腹部内臓への順行性の血流回復が極めて重要と考えられる。 以上の結果をもとに、蘇生時の腹部内臓血流障害を腸管透過性、心機能の観点からより詳細に検討していく。
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