2006 Fiscal Year Annual Research Report
腹部内臓血行動態と蘇生後臓器機能障害との関連からみた新しい心肺蘇生法の開発
Project/Area Number |
17659569
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉本 壽 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90127241)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 健太郎 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60379203)
|
Keywords | PCPS / 蘇生後脳症 / 腸管透過性亢進 / 心肺蘇生法 / アルゴリズム |
Research Abstract |
腹部内臓血流のPCPSによる早期再開、蘇生後の腹部臓器障害を検討するために以下の研究をすすめている。 (1)PCPS(経皮的心肺補助)の早期導入のためのアルゴリズムの導入PCPSを導入する基準は確立されたものはなく、現場で悩むことも多く一定の基準を作ることが重要と考えアルゴリズムを作成した。これにより導入率が上昇し、心停止症例全体でみると9%(7/80)から25%(14/56)へと増加した。以上よりPCPS早期導入のためにアルゴリズム導入は有効と考えられた。(第33回日本救急医学会総会発表) (2)胸骨圧迫式心マッサージ時の臓器血流分布 胸骨圧迫式心マッサージ時においてCT撮影を行うことによって、肝静脈、腎静脈への逆向性の血流が生じることを確認した。腹部内臓は温阻血状態にあると考えられ、PCPSによる早期の腹部内臓への順行性の血流回復が極めて重要と考えられた。 本年は、以下の研究を進めた。 (1)PCPS(経皮的心肺補助)導入のためのアルゴリズムによる効果 アルゴリズムを導入すると、VF(心室細動)症例においてPCPS開始までの時間が導入前は41.2分要していたが、導入後は22.8分と短縮した。また、経過中に、意識の改善がみられる症例が7.4%(2/27)から27.8%(5/18)へと増加した。PEA(無脈性電気活動)、心静止の症例においては、生存退院、経過中の意識改善率ともに、0%(0/17)から28.6%(4/14)へと増加した。以上より、アルゴリズム導入は有用であると考えられた。(第34回日本救急医学会発表) (2)蘇生後の下痢、腸管透過性亢進 蘇生後の虚血再潅流のためほとんどの症例で下痢が発生しており、PCPSによる効果を検討している。以上の結果をもとに、蘇生時の腹部内臓血流障害を腸管透過性、心機能の観点からより詳細に検討していく。
|