2006 Fiscal Year Annual Research Report
扁平上皮癌における放射線耐性遺伝子の発現と癌特異増殖進展の予防
Project/Area Number |
17659581
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
立川 哲彦 昭和大学, 歯学部, 教授 (10085772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 太朗 昭和大学, 歯学部, 講師 (00317570)
山本 剛 昭和大学, 歯学部, 助手 (80384189)
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Keywords | 遺伝子 / 癌 / ゲノム / 発現制御 / 放射線 |
Research Abstract |
放射線照射された細胞に生じる損傷の一部は回復することが知られており、口腔扁平上皮癌は50%〜70%が全く放射線の治療効果が得られていないのが現状である。このような放射線感受性の違いは癌細胞自体の細胞周期調節、DNA修復能、細胞死調節能などの細胞内因子が関与している。このような因子を遺伝子レベルからみると、癌治療での放射線の集学的癌治療成果の向上と癌関連遺伝子の変異についてはp53遺伝子の関連が主体で、他の癌関連遺伝子についてはほとんど研究されていない。 そこで、本研究は研究代表者が新たに樹立した扁平上皮癌細胞の32株から放射線耐性遺伝子を見出し、その耐性遺伝子が実際の臨床症例においてどのような発現様相を呈するかを検索することを目的とした。さらに、放射線治療の向上のために、耐性遺伝子から作られる蛋白質に対する抗体により放射線増感として役割のメカニズムを解明し、癌特異増殖進展を予防することを目的とした。 扁平上皮癌細胞である32株について放射線照射による細胞形態および細胞増殖能を検索した結果、もっとも顕著な形態変化は40Gy照射時点で、癌細胞の多くの細胞は紡錘形となり不規則な細胞突起の形成を認めた。細胞増殖は40Gy照射で強く抑制されるが、60Gy,および70Gyでは細胞形態は非照射群と比較して大きな変化を認めず、ほぼ同様な細胞形態を呈していた。さらに細胞増殖では40Gy照射で強い細胞増殖抑制を認めたにも関わらず、60Gy、および70Gy照射では強い細胞増殖抑制を認めず、時間の経過と供に細胞は増殖した。これらの照射による細胞増殖能の特徴的所見をまとめると以下の点が挙げられた。 (1)非照射群の細胞増殖能が低い細胞は、照射量に関係なく細胞増殖は強い抑制を示した。 (2)非照射群で細胞増殖が強い細胞は、照射量に関係なく細胞増殖率は非常に高い値を示した。 (3)照射により一旦細胞増殖は抑制されるが、40Gy照射を境として、細胞増殖脳は2つに分類され、40Gyで細胞増殖が完全に抑制される癌細胞と逆に40Gy照射後に細胞増殖が増加する細胞に分かれた。 (4)32細胞株の内、生体でおこなわれる照射の許容量以上の照射(70Gy,80Gy)をおこなった後も強い細胞増殖能を示した癌細胞は18株あった。 本研究は放射線照射後の遺伝子解析のために、マイクロアレイを使用した遺伝子解析を行っている。
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