2005 Fiscal Year Annual Research Report
「声」の分析を用いて行う,嚥下障害の診断および嚥下訓練への試算について
Project/Area Number |
17659605
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
谷口 尚 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90171850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
隅田 由香 (岩倉 由香) 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (10361693)
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Keywords | 音声 / 音響分析 / 嚥下障害 |
Research Abstract |
本期間では、腫瘍などによる外科手術を施行した下顎欠損患者および舌欠損患者を対象に、嚥下機能に関わるアンケートを行った。上記の患者らは、嚥下障害の自覚的症状および他覚的症状を備えることが多いが、嚥下機能の程度や状態は多彩である。これは、嚥下運動には、多種多様な神経、筋が高度に連係しつつ食物の搬送呼吸を両立させているからである。そのため、嚥下障害の評価法は一定せず、基準もまちまちであるのが現状である。そこで、本研究期間にて行ったアンケート方法には、今現在使用されているアンケートの中で、比較的簡便で実際の摂食状況を良く反映していると考えられているものを採択し、患者らの日常における嚥下状態を明らかとした。 1.15の問いを3段階の表価値を用いて嚥下障害に関わる自覚的症状を調べる。 2.嚥下障害スコア:自覚症状による嚥下障害スコア化することで残留、搬送、保持、逆流、誤嚥とレベル化することが出来る。また、食品群別評価も可能である。 3.MTFスコア:嚥下状態をチェック項目として栄養の摂取方法、食事時間、摂取可能食品群の3つの要素を選択している。 本研究の目的は上記の嚥下機能評価を音声を用いて行うということにある。そこで上記研究と並行して、嚥下能力と関係が深い喉頭の状態を把握するために、声帯の揺らぎの異常や、震えの異常を抽出できる音響分析を試みた。分折用機としてkay社製Multi-Dimensional Voice Programを用いて、顎顔面欠損患者の音声を定量的に評価、記録し顎顔面欠損患者の病的音声を音響学的に明らかにしていった。まず、本期間において、異常音声の抽出の為に最適なパラメータの確立を行った。上記分析機器は、大別すると基本周波数に関するパラメータ、震えに関するパラメータ、周期の揺らぎに関する計測、振幅の揺らぎに関する計測、雑音に関する計測などを含む。しかし、臨床応用に不可欠な基礎データとしてそれぞれのパラメータの日間変動、および日内変動が不明なままである。そこで、以下の方法にて研究を行った。 1.防音室にて母音[a]を慣習的な声の高さと大きさで約5秒間持続発声させる。 2.Sampling rate 44.1kHz,16bitにて持続発声したデータ中央の定常区間3秒を用いた。 全てのパラメータのCV値の比較などを行った結果、Noise to Harmonic Ratioが今後、臨床応用に可能なパラメータとして抽出された。
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Research Products
(6 results)