2005 Fiscal Year Annual Research Report
常温セラミックス膜形成技術を応用した耐磨耗性優れる硬質レジン歯冠修復に関する研究
Project/Area Number |
17659615
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
平 曜輔 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (40226725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 幸治 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (60264256)
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Keywords | 生体材料 / ナノ材料 / セラミックス / 硬質レジン / 歯冠修復 |
Research Abstract |
硬質レジン前装冠は天然歯や陶材焼付鋳造冠に比べて、前装表面が咀嚼や歯磨きによって磨耗し、艶がなくなり、歯垢や汚れが付き易いといった欠点がある。硬質レジンの表面に常温でセラミックス製膜が行えれば、硬質レジン前装冠と陶材焼付鋳造冠の欠点を補い、両方の特質をいかした修復物が提供可能となることが予想される。そこで本研究では、エアロゾルデポジション法(ADコーティング)を用いて硬質レジン表面に常温でセラミックス製膜を行い、これによって歯ブラシに対する耐磨耗性が改善されることを証明することを目的とした。円板状試験片(直径:10mm、厚さ:3.0mm)を光・加熱重合型の硬質レジン(エステニア、クラレメディカル)を用いて作製し、円板の平面にアルミナを常温でコーティングした。ADコーティングをせず、600番のシリコンカーバイド紙で研削した円板状試験片をコントロールとして使用した。歯ブラシ磨耗試験機を用いて試験片に100,000回繰り返し磨耗を行った。表面粗さ測定機を用いて磨耗後の表面をミクロン単位で測定し、平均表面粗さ(Ra)と最大表面粗さ(Rmax)を求めた。6個の測定値から平均値と標準偏差を求め、有意水準5%で分散分析と多重比較を行った。走査型電子顕微鏡観察の結果、硬化した硬質レジン上に厚さ5μmのアルミナ膜が形成されていること、またこれは肉眼的に透明であることが確認された。磨耗試験前の表面粗さは、ADコーティングした場合Ra=0.21(0.01)、Rmax=2.39(0.40)、ADコーティングしなかった場合Ra=0.20(0.02)、Rmax=2.20(0.27)であり、ADコーティングの有無による有意差は認められなかった。磨耗試験後は、ADコーティングした試料の表面粗さRa=0.09(0.01)、Rmax=1.15(0.22)はADコーティングしなかった試料の表面粗さRa=0.40(0.04)、Rmax=2.37(0.41)に比べて有意に小さかった。以上の結果から、硬質レジンの歯ブラシ磨耗に対する耐久性は常温セラミックスコーティングによって改善されることが示された。
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Research Products
(1 results)