2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17659620
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
佐藤 博信 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (00145955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 尚志 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (60330966)
都築 尊 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (70330967)
松永 興昌 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (50389409)
石川 昌嗣 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (20369044)
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Keywords | 歯肉 / 歯槽粘膜 / コラーゲン / エラスチン / 遺伝子発現 / 結合組織 |
Research Abstract |
歯牙やインプラントは,その周囲に十分に角化した歯肉が存在することによって,その永続性が保証される.すなはち,角化した歯肉に被覆されることによって,歯槽骨は細菌や物理的圧力から保護され,安定した骨代謝を営むことができ,吸収が抑制されると考えられている.歯肉が不足している場合,歯牙やインプラント周囲に口蓋粘膜移植を施すが,患者が外科手術を敬遠することが少なくなく,また移植に足る十分な厚みの口蓋粘膜を有さない患者も少なくない.我々は,歯肉結合組織にコラーゲン合成促進剤を適用することにより,非外科的に十分な厚みを有する歯肉を獲得する方法の開発を考えているが,その前に角化歯肉とその周囲の歯槽粘膜の結合組織の相違を明らかにする必要がある.本年度は,ブタ歯肉と歯槽粘膜の結合組織中におけるI型コラーゲン(COL)とエラスチン(ELA)の遺伝子発現量を比較することにより,歯肉と歯槽粘膜における主要な構造機能的細胞外基質蛋白の構成の相違の可能性を調べた.COLとELAのmRNA量はGAPDH1分子あたりの分子数で算出した.歯肉におけるCOLとELAmRNA量はそれぞれ5.742と0.020で,COL/ELAは287であった.一方,歯槽粘膜におけるCOLとELAのmRNA量はそれぞれ0.950と0.081で,COL/ELAは11.7であった.以上より,角化していない,可動性のある歯槽粘膜に比べ,非可動性の角化した歯肉の結合組織中には,COLmRNAが顕著に多く,ELAmRNAは比較的少ないことが判明した.つまり,歯槽粘膜に比べて,厚く,強靭性のある歯肉の結合組織は多くのコラーゲン線維によって成り立っていることを示唆しており,あくまで推論であるが,コラーゲン線維を何らかの方法で増やすことにより,丈夫な歯肉を再生できる可能性がありうることが推察された.
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