2005 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌の転移抑制を目指したMMPインヒビター療法開発のための基礎的研究
Project/Area Number |
17659626
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
木村 博人 弘前大学, 医学部, 教授 (90142851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊 宏剛 弘前大学, 医学部附属病院, 助手 (90374850)
成田 憲司 弘前大学, 医学部附属病院, 医員 (50374848)
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Keywords | 口腔癌 / MMP / COX-2 / 転移抑制 / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
本年度申請者らは、MMP・COX-2発現の調節機構を利用した口腔癌の浸潤・転移抑制を目指し以下の検討を行った。 ヒト口腔癌由来細胞株として舌癌由来のHSC-3(高転移性細胞株)、HSC-4(低転移性細胞株)、歯肉癌由来のCa9-22、また、口腔以外で高頻度に頚部リンパ節転移をきたす代表的な頭頚部腫瘍としてヒト甲状腺癌由来細胞株の8505Cを用いて比較検討を行った。各種癌細胞を培養ディッシュ上で培養を行い、細胞よりRNAを回収し、MMLVを逆転写酵素として一本鎖cDNAを合成した。同cDNAを試料として、Light Cyclerを用いた定量PCRにより、COX-2 mRNA発現量ならびにMMP-1、2、9 mRNA発現量を測定した。 その結果、COX-2 mRNAの発現量は、HSC-3において最も高発現を認めたが、同じ舌癌由来細胞株であるHSC-4においては、Ca9-22および8505Cより発現量が小さいことが明らかとなった。この傾向はMMP-9 mRNAの発現量においても認められ、COX-2ならびにMMP-9の発現が舌癌の転移において重要な役割を果している可能性が示唆された。また、甲状腺癌由来細胞株8505CにおいてMMP-1、MMP-2の発現量が舌癌や歯肉癌由来細胞株より高いことが明らかとなった。甲状腺癌はリンパ節転移巣において浸潤増殖能が低く、口腔癌に比較して予後良好であることが知られているが、MMP-1、MMP-2の発現が転移巣における癌の浸潤機構に関与していることも示唆された。 以上の結果をふまえ、今後、上記遺伝子のinhibitorを用いた腫瘍細胞の浸潤ならびに転移の抑制を検討する予定である。さらに、上記遺伝子を用いた転移や転移後の予後を予測しうるマーカーの特定も今後の検討課題としてあがった。
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