2006 Fiscal Year Annual Research Report
RNAiを用いた顎口腔系の骨格筋量制御法の開発に関する研究
Project/Area Number |
17659648
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
森山 啓司 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20262206)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大庭 康雄 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (40294706)
井澤 俊 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (30380017)
金子 和之 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (40380026)
塩屋園 敦 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (60403705)
佐竹 秀太 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (10304685)
|
Keywords | RNA干渉 / 骨格筋 / マイオスタチン / 筋芽細胞 / アテロコラーゲン |
Research Abstract |
咀嚼筋や舌筋の機能異常は、不正咬合の成因や矯正治療の予後の安定性に影響を与える。近年、細胞内の標的遺伝子の発現を特異的に抑制するRNA干渉法(RNA interference : RNAi)が開発され、臨床応用への展開が期待されている。本研究では、筋形成の新たな制御方法を開発することを目的として、骨格筋形成の抑制遺伝子であるマイオスタチン(Mst)を標的遺伝子としたRNAiがマウス筋芽細胞の増殖および分化に及ぼす影響を検討した。 COS-1細胞で一過性に強制発現させたマイオスタチンはpSi-Mstをco-transfectionすることでその発現が顕著に抑制された。マイオスタチン恒常発現株では親株と比較して有意に細胞増殖能が低下していたが、pSi-Mstを導入すると細胞増殖能が有意に促進された。マイオスタチン恒常発現株における細胞増殖関連因子p21、p53およびpRbの発現に対するpSi-Mstの影響を検討した結果、p21、p53の発現上昇とpRbの発現低下が認められた。一方、pSi-Mstを導入したマイオスタチン恒常発現株では筋分化制御因子MyoD、myogeninおよびMHCの発現上昇と筋管形成を伴う筋分化促進が認められた。また、Mst-siRNAを混合したアテロコ・ラーゲンを導入したマウス咬筋において、導入から2週間後、対照群と比較してマイオスタチン発現が顕著に抑制されており、肉眼的にも明らかな骨格筋増大が観察された。Mst-siRNAを導入した咬筋および大腿二頭筋の重量は、いずれも有意な増加を示した。さらに、組織学的解析を行ったところ、Mst-siRNAを導入した咬筋の各筋線維は明らかな肥大傾向を示し、各筋線維の直径を測定・定量化した結果,対照群に比べて平均で約1.3倍増加していた。以上の結果から、マイオスタチンを標的としたRNAiは、筋芽細胞の増殖および分化を促進し、さらには個体レベルでの骨格筋量の調節に有用であり、今後骨格筋異常を伴う種々の疾患に対する非侵襲的かつ安全な治療として応用しうる可能性が示唆された。
|