2005 Fiscal Year Annual Research Report
乳歯の再生医療への応用を開拓する発生および細胞工学的研究
Project/Area Number |
17659650
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野中 和明 九州大学, 大学院歯学研究院, 教授 (90128067)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福本 敏 九州大学, 大学院歯学研究院, 助教授 (30264253)
山田 亜矢 九州大学, 大学院歯学研究院, 助手 (40295085)
|
Keywords | 乳歯 / 再生医療 / 組織再生能 / 骨形成誘導能 / 遺伝子診断法 |
Research Abstract |
研究の目的は、乳歯の歯槽骨内移植法に伴うタンパク質の発現変化の同定、タンパク質の発現変化に関連した遺伝子群の同定、乳歯硬組織の骨形成誘導能の同定などにある。そこで本年度は、乳歯歯髄細胞の培養法の確立とその長期保存の検討の為に、実験動物としてマウスを利用した基礎的研究を先ず行ない、次のような新しい研究成果を得ることができた。先ず、歯の硬組織などの吸収や形成に深い関わりのある転写因子のひとつであるRunx2/Cbfa1に着目した。Runx2/Cbfa1ノックアウトマウスでは、骨の形成不全と歯の発育の休止が認められる。そこでその分子機序の解明のため、人工培養中のマウス歯胚にRunx2/Cbfa1アンチセンスオリゴを投与した実験を行ったところ、胎生11日齢マウス歯胚では蕾状期までは発育できたら、その後の発育は休止した。また一方胎生15日齢マウス歯胚の人工培養実験では、類骨様細胞がエナメル芽細胞や象牙芽細胞へ分化することを抑制した。RT-PCR法による解析の結果、デンチンマトリックスタンパク1型、デンチンシアロリン酸タンパク、アメロゲニン、アメロブラスチンなどの遺伝子発現が著しく抑制を受けていた。対照群であるRunx2/Cbfa1アンチセンスオリゴセンスオリゴを投与した胎生15日齢マウス歯胚の人工培養実験では、これらの遺伝子発現の抑制は一切認められなかった。これらの結果より、Runx2/Cbfa1は胎児期マウス歯胚の形成と発育に必須であることが確認された。これからは、上記の実験技術を応用しながら、歯胚の無血清器官培養法の確立、増殖因子添加処理した歯胚の歯槽骨内移植法の確立あるいは歯胚の長期保存法の確立などの取り組んでいく予定である。
|
Research Products
(5 results)