2005 Fiscal Year Annual Research Report
カテプシン-Lプロモーターの薬剤応答配列を標的とした歯肉増殖症の治療法開発
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17659657
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西村 英紀 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (80208222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高柴 正悟 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (50226768)
小柳津 功介 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (30379838)
畑中 加珠 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (50362992)
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Keywords | ニフェジピン / サイクロスポリンA / フェニトイン / 歯肉増殖症 / プロテインマイクロアレイ / DAPK / カテプシン / アポトーシス |
Research Abstract |
ニフェジピン、サイクロスポリンAおよびフェニトインは、副作用として歯肉増殖症を惹起する。申請者らは、(1)これら3種類の薬剤はヒト歯肉線維芽細胞においてライソゾーム酵素カテプシンLの活性を遺伝子の転写レベルで抑制すること、(2)カテプシンL遺伝子欠損マウスでは歯肉肥厚が惹起され、その組織像は歯肉増殖症の病理像に酷似していること、を報告した。しかしながらこれらの薬剤がいかなる機序でカテプシンL遺伝子発現に影響を及ぼすのかについては明らかではない。そこで、この機序を知る手がかりとして、プロテインマイクロアレイの手法を用いて疾患誘発薬剤によって影響を受ける細胞内蛋白を解析した。その結果、活性化death-associated protein kinase(DAPK)の発現が、3種類の薬剤で刺激したKB細胞で低下していた。発現量の違いは線維芽細胞よりもKB細胞においてより著明であった。DAPKはCa^<2+>/カルモジュリン(CaM)依存性kinaseであり、その活性や発現が低下した癌細胞ではアポトーシスに耐性を示すことから、アポトーシスの誘導に関与するとされている。すなわち、3種類の薬剤が上皮細胞のアポトーシスを抑制する可能性が示された。また、3種類の薬剤は共通してCa^<2+>/カルモジュリン依存性のシグナル伝達を抑制する可能性が考えられた。サイクロスポリンAは、Ca^<2+>/カルモジュリン依存性phosphataseカルシニューリンの作用を抑制することで転写因子NF-ATの活性を抑制する。本結果から、サイクロスポリンAのみならず、ニフェジピンやフェニトインもNF-AT活性を抑制することが示された。カテプシンLの遺伝子上流の制御領域には、数箇所のNF-AT結合領域があることが報告されていることから、薬剤によるカテプシンL遺伝子発現低下作用にCa^<2+>/カルモジュリン刺激伝達系が関与する可能性が示された。
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Research Products
(1 results)