2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17659665
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小室 歳信 日本大学, 歯学部, 教授 (50139200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 博文 日本大学, 歯学部, 助手 (30188594)
向山 レイ 日本大学, 歯学部, 講師 (40059902)
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Keywords | 歯科法医学 / 歯髄 / ミトコンドリアDNA / hypervariable region / 構造解析 / C-stretch |
Research Abstract |
室内に1〜23年間保存された日本人永久歯140例から抽出した歯髄mtDNAを試料とし、D-loop領域に位置する高変異領域(hypervariable region、HV領域)の多型解析を行った。 まず、HV1領域(nt16081-16390)において、塩基置換や挿入あるいは欠失などの変異は77ヵ所(24.8%)に認められた。最も頻度が高かった変異はnt16223においてCがTへ置換する例で、109例(77.9%、C16223T)に認められた。C連続の配列パターン(C-stretch)は14通り出現し、最も頻度の高かったパターンはCCCCCTCCCC(5C1T4C)で81例(57.9%)に認められた。この配列はAndersonらと同じ構造を示すものであった。 つぎに、HV2領域(nt73-354)の変異について検討したところ、56ヵ所(19.9%)に認められた。A263Gがすべての試料で認められた。また、nt315とnt316の間に1塩基Cの挿入した例(nt315.1C)が135例(96.4%)出現した。両所見は日本人集団の特徴的な所見と思われる。nt248やnt316などでは塩基の欠失例が出現(0.7%)し、個人識別にはむしろ有効な所見と思われた。C-stretchは7通り出現し、8C1T6Cが63例(45.0%)出現した。Andersonらと同じ構造を示す例は認められなかった。 さらに、HV3領域(nt438-594)における変異は21ヵ所(13.4%)に認められた。T489C(64.3%)が最も頻度は高かった。C-stretchは5通り出現し、最も頻度の高かったパターンは6C(Andersonらと同じ構造)で130例(92.9%)出現した。 歯髄mtDNA140例はHV1-3領域の配列パターンによって128型に分類され、法医鑑識領域における個人識別に有用であることが判明した。
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