Research Abstract |
本年度は,看護学生・医学生への効果的禁煙教育指導プログラムの必要因子の検討のための基礎的資料を得ることを目的とし,看護学生・医学生を含めた大学生の喫煙状況や喫煙に対する態度,知識,過去の喫煙対策教育の経験の有無に関する調査を実施した。質問紙は,先行研究をもとに研究者が独自に作成し,集団調査法による無記名式質問紙調査を行った。北陸および近畿圏内の3大学に通う大学生2,542名を対象とし,2041名から回答(回収率80%)が得られ,そのうち有効回答数は1,987名(有効回答率78%)だった。内訳は,医学生275名,看護学生312名,教育系学生172名,工学系学生1228名で,男子学生1,283名,女子学生708名,平均年齢は20.2±1.92歳であった。全体の喫煙率は12.7%,禁煙者は4.6%みられ,喫煙者のうち禁煙希望者は52.8%おり,そのうち今すぐまたは1ヶ月以内に禁煙したいと思っている者は20.2%だった。喫煙に対する態度では,76.4%が「体に悪い」,62.5%が「吸わない方が良い」と考えており,また,一般人および一般大学生の喫煙よりも医師・看護師および医学生・看護学生の喫煙を否定的にとらえる意見が多かった。喫煙の身体影響に関する知識では,ガンや呼吸器疾患,妊娠への影響についての知識は高かったが,心臓病や胃潰瘍,受動喫煙での子供の中耳炎や乳幼児の突然死についての知識は低かった。喫煙対策教育を受けた経験は65.7%あり,その内容はたばこの有害性や身体への影響に関することが多く,たばこを取り巻く社会情勢や禁煙の方法およびその支持組織について聞いた者は半数以下であった。今回の調査で得られた結果は,詳細な分析を実施し,看護学生および医学生を含めた大学生への禁煙教育指導プログラムの構成の基盤として活用する。
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