Research Abstract |
昨年度実施の看護学生・医学生を含めた大学生(教育学系・工学系)の喫煙状況や喫煙に対する態度,知識,過去の喫煙対策教育の経験の有無に関する調査を分析した結果,以下のことが考察された。 1.大学生の喫煙率は,性別および大学での専攻により違いがみられ,工学部の喫煙率が最も高く,最も低かったのは看護学生であった。また,医学系学生が非医学系学生よりも喫煙の身体影響に関する知識が高かったが,それは医学的知識に接する機会が多いためと考えられる。 2.喫煙対策教育に関して,(1)喫煙対策教育受講経験者は,喫煙率が低く,喫煙に対する態度が否定的であり,知識も高かったことから,喫煙対策教育は,喫煙防止,喫煙の有害性に対する知識の向上,喫煙に対する否定的態度への変容に効果がある。(2)喫煙対策教育受講者の9割がタバコの有害性や身体への影響については聞いたと答えていたが,喫煙に関連した疾患の知識の正解率は60%程度であったことから,その内容を省くことなく,教育内容に組み込み,そして,繰り返し教育を実施することが必要である。 3.非医学系学生に対する喫煙対策教育に関して,(1)喫煙の身体影響に関する知識が低かったことから,それらの知識を提供することが必要である。(2)喫煙に対する態度がより肯定的であったことから,喫煙に対するイメージの修正をはかることが必要である。 4.医学系学生に対する喫煙対策教育に関して,(1)医療従事者や医学系学生の喫煙は,専攻に関係なく否定的に捉えられていたことから,一般に医療従事者は健康推進の啓蒙摘立場にあるとみなされており,医学系学生には,将来その立場に立つという自覚を深められるような働きかけを取り入れることが必要である。(2)喫煙している医学系学生の知識や態度は,非喫煙・禁煙した学生と差はなかったことから,医学系学生の喫煙には,ストレスなどの他の要因が影響していることを考慮する必要がある。 以上の結果をもとに,最終年度は看護学生・医学生の為の効果的喫煙対策教育プログラムの案を作成,実施,評価し,プログラムの構築を目指す。
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