2006 Fiscal Year Annual Research Report
慢性の病いにおける他者への「言いづらさ」についての研究
Project/Area Number |
17659674
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Research Institution | Gifu College of Nursing |
Principal Investigator |
黒江 ゆり子 岐阜県立看護大学, 看護学部, 教授 (40295712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 智司 京都大学, 教育学部, 教授 (60158037)
宝田 穂 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (00321133)
田中 結華 大阪市立大学, 医学部, 講師 (80236645)
藤澤 まこと 岐阜県立看護大学, 看護学部, 助教授 (70336634)
普照 早苗 岐阜県立看護大学, 看護学部, 講師 (80336635)
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Keywords | 慢性の病い / 慢性疾患 / クロニックイルネス / 病いとともに生きる / living with illness / 生活者 / インタヴュー / ライフストーリィ |
Research Abstract |
平成18年度は、第一に、前年度における「慢性疾患」(あるいは病気、病い)および「生活者」の用語を用いてどのような報告がされているかについての検討結果として、看護学においては「生活者」の用語を用いることで、慢性の病いとともに生活している人々を、医療を受ける存在から医療を選択する存在として捉えようとしていること、および自らの病いについて他者の指示に従う存在ではなく自分の病いについて語れる存在として捉えることが可能であることなどについて、訪問看護、精神看護および健康教育の視点を含めて報告を行なった(看護研究:平成18年8月増刊号)。 第二に、実施する調査方法について、R.アトキンソンによるライフストーリィインタビュー法を基盤にインタビュープロセスを検討し、慢性の病いとともにある生活を送っている人々のライフストーリーを相互作用的なインタビューによって生成し、アーキタイプ(元型)を探求しながら「言いづらさ」を描くこととし、平成18年度はライフストーリィインタビューの第一段階(インタビュー準備あるいはプレインタビュー)と第二段階(インタビューを行なうプロセス)を行った。 さらに第三に、慢性の病レ〜が実際の生活にどのような影響を与えるのかについての知見を深めるために検討を続けたI.M.ルブキンらによる「Chronic Illness : Impact and Intervention」の翻訳および邦語内容の確認が終了したことから出版の準備を行なった(邦題「クロニックイルネス」医学書院、総頁数576、平成19年5月)。本書は、病いの慢性性(chronicity)の概念や病いに伴うスティグマを含む「病気の衝撃」、家族による介護やパワレスネスを含む「クライエントと家族にとっての衝撃」、チェンジエージェントや倫理的課題を含む「保健医療職者にとっての衝撃」、および保健医療政策や長期ケアを含む「保健医療システムにとっての衝撃」の4部(全24章)構成となり、慢性の病いによる人々の生活への影響について描き出すものとなった。今年度は、ライフストリーインタビューの継続と第三段階としての解釈のプロセスをさらにすすめる予定である。
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Research Products
(7 results)