2005 Fiscal Year Annual Research Report
がん患者の在宅医療を支えるためのヘルスケアチーム構築を阻む要因
Project/Area Number |
17659684
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
横田 素美 信州大学, 医学部, 教授 (10188815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 唱子 福島県立医科大学, 看護学部, 教授 (30291561)
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Keywords | がん患者 / 在宅医療 / ヘルスケアチーム |
Research Abstract |
在宅療養が必要となったがん患者・家族(以下ケース)にかかわった臨床現場の看護者(30名)を対象として、これらのケースにとって必要であると考えたヘルスケアチームの構成メンバーとその役割期待を明らかにし、またヘルスケアチームが構成されなかったり構成し難かった場合はその原因を明らかにすることを目的として、自由回答式の質問紙調査を実施した。さらに臨床現場の看護者が必要と考えているヘルスケアチームのメンバーと、我々研究者が必要と考えるメンバーに差異があるか、差異がある場合はその原因を明らかにするために回答の対象となった患者に関する情報の提供を受け、分析検討した。分析結果の概要を以下に示す。 1)在宅療養に向けて必要と考える専門職として、全ての看護者が訪問看護師と在宅医をあげており、医療を担うメンバーの確保が重要視されていた。この点は我々の考えと一致した。また日常生活動作(ADL)の自立度が低下している患者では、家族の介護力の状況に関わらずヘルパーおよびケアマネジャーがメンバーにあげられていた。一方、我々が、長期的にみて家族の疲労軽減を目的にヘルパーおよびケアマネジャーがメンバーとして必要と判断したものの看護者がこれらの職種をあげていなかったケースが2例があった。 2)看護者は、入院中から悲嘆や不安が強い患者や家族の動揺が強いケースに対してのみ心理療法士やカウンセラーをメンバーにあげていた。我々は、がん闘病の各段階で適切な緩和ケアの提供が必要であることを考えると全てのケースに精神的な支援を提供できる専門職種がメンバーとして必要であると考えており、差が認められた。 3)看護者はそれぞれの専門職者と個別に連絡をとることで在宅療養を可能にしていたが、チームとしての構築はいずれのケースも不十分であった。チームのリーダーあるいはマネジメント的な役割を担う存在の有無が個々の連携の形で留まるか、チーム構築に発展できるかの鍵と推察された。 これらの実績を踏まえて、今後、全国規模の質問紙調査とヘルスケアチームのメンバーとして必要とされる専門職者への面接調査を実施し、ヘルスケアチーム構築を阻む要因を明らかにしていく。
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