2006 Fiscal Year Annual Research Report
がん患者の在宅医療を支えるためのヘルスケアチーム構築を阻む要因
Project/Area Number |
17659684
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
横田 素美 信州大学, 医学部, 教授 (10188815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 唱子 福島県立医科大学・看護学部 (30291561)
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Keywords | がん患者 / 在宅医療 / ヘルスケアチーム / 専門職種 |
Research Abstract |
全国の地域がん診療連携拠点病院および都道府県がん診療連携拠点病院180施設に常勤している医師看護師、理学療法士、作業療法士、言語療法士、薬剤師、栄養士、医療ソーシャルワーカー(似下MSW)の8職種を対象にがん患者の在宅医療にかかわる専門職種ならびにヘルスケアチームについて、現状および個々の認識に関しし質問紙調査を実施した。医師141名、看護師210名、理学療法士185名、作業療法士92、言語療法士34名、薬剤師223名、栄養士122名、MSW89名から回答を得て、以下のことが明らかになった。 1)がん患者および家族に対して今までにヘルスケアチームの一員として関わった経験の有無では、医師84名(59.6%)看護師150名(71.4%)、理学療法士51名(27.9%)、作業療法士15名(16.3%)、言語療法士3名(8.8%)、薬剤師74名(33.3%)、栄養士43名(35.5%)、MSW(73.9%)が経験があると回答した。ヘルスケアチームが関わる意義に関して「とても必要である」と捉えている者は全体では748名(69.0%)であり、医師103名(75.1%)、看護師175名(84.5%)、理療法士105名(57.1%)作業療法士38名(42.2%)、言語療法士24名(70.6%)、薬剤師149名(67.1%)、栄養士71名(58.2%)、MSW70名(79.5%)であった。作業療法士を除いた職種においてはそれぞれ半数以上の者が、がん患者および家族に対してヘルスケアチームとして関わる意義を認識していた。しかし、実際にチームで関わった経験は、医師や看護師、MSWで半数以上を示すにどどまり、他の職種がチームに加わることは現状ではまだ少ないと推察された。 2)がんの患者および家族の退院後の生活を視野に入れ、地域の専門職種に入院中からヘルスケアチームのメンバーに入ることに関しては「必要である」と答えた者は843名(77.4%)、「あまり必要でない」は26名(2.4%)、「どちらともいえない」は220名(20.2%)であった。また「必要である」と答えた者のうち「現実的に可能である」と考えている者は216名(25.6%)であり、「不可能である」あるいは「どちらとも言えない」と考えている者は638名(75.7%)占めた。「不可能」あるいは「どちらともいえない」と考える理由として最も多かったものは「話し合いの時間を調整することが難しい」(455名)であり、次はいで「所属が異なるととで連携が取りにくい」(361名)であった。地域の専門職種との連携の重要性は認識されているが、時間の調整などの困難性から実現の難しさを実感している現状が明らかになった。 3)がん患者の在宅医療を支えるヘルスケアチーム構築を今後進めるために必要と考える内容に関しては、「他の専門職についての知識・理解を深める」が993名(93.2%)、「定期的に病棟で種々の職種からなるチームカンファレンスを開催する」が993名(93.2%)、「人員の厳しい職種に関しては病院全体で対策を考える」が928名(87.1%)、「地域の専門職種と情報を交換するために定期的にカンファレンスを開催する」が821名(77.1%)であった。また患者および家族を含めたヘルスケアチームの構築に関しては934名(87.7%)が必要と捉えていた。
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