2007 Fiscal Year Annual Research Report
がん患者の在宅医療を支えるためのヘルスケアケーム構築を阻む要因
Project/Area Number |
17659684
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
横田 素美 Fukushima Medical University, 看護学部, 教授 (10188815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 唱子 福島県立医科大学, 看護学部, 教授 (30291561)
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Keywords | がん患者 / 在宅療養 / チーム医療 / 専門職種 |
Research Abstract |
在宅療養へ移行する事例をリストアップして検討した結果、多職種によるチームを編成する優先度が高い基準として、以下の4項目が見いだされた。1)入院前から、あるいは入院中にADLの低下があり、特に移乗・移動動作の自立が低下している患者、2)疼痛コントロールや呼吸管理に医療職者の必要度が高い患者、3)在宅に戻った後、状態が短期間で低下すると予測され、再入院が必要とされる患者、4)独居あるいは高齢の夫婦のみで生活している患者。この基準に照合させながら、優先度が高いと判断された患者・家族に対して、多職種によるチームで関わりながら問題点を整理した。その結果、がん患者の在宅療養移行にチームで関わる上での課題が明らかになったので、その一つに関して事例を用いて述べる。 事例:患者は69歳の男性、末期の食道癌(肺リンパ節への転移・食道穿孔による縦隔炎併発)で入院前は65歳の妻と長女の3人暮らしであった。手術は適応できず、化学療法と放射線療法を実施していたが、肺転移増大が認められ、ターミナルであることが患者・家族に説明された。患者は、何とか状態を改善させて一度は家に戻ることを強く希望していた。しかし、家族は本人の希望を叶えたいとの思いと、在宅に戻って状態が悪化した時への不安が入り混じり、在宅への決心がつかない状態であった。この患者の場合、高度な呼吸困難と疼痛への援助が治療および看護における重要課題であり、本人の在宅への希望も考え、医師・看護師・薬剤師・理学療法士・MSWによるチームでかかわった。看護師は、家族の不安の緩和を図り、患者の状態が少しでも安定している時期に短期間でも在宅に戻れるように支援していくことを目標に考えたが、この点に関するチーム全体のコンセンサスを得るための調整に時間を要した。その結果、在宅に戻る最適な時期を逸し、チームとして在宅に向けて動き始め、実現可能となった時に患者は他界した。 チームで関わる上でメンバーが同じ目標を持つことは重要であり、そのためにディスカッションを重ねることも必要である。しかし、タイムリーな決定が必要な場合、いかに短期間でチームが一体となって目標に向かえるかが大きな課題となった。課題の解決の糸口として、俄か作りのチーム編成ではなく、何度となくチームを組むことでメンバー間の理解を深めておくことの重要性が明らかになった。
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Research Products
(1 results)