2005 Fiscal Year Annual Research Report
臨床におけるカテーテルケアのレベルと尿路感染との関係の解明
Project/Area Number |
17659690
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
牧本 清子 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80262559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 文恵 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50283776)
山川 みやえ 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80403012)
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Keywords | カテーテル由来尿路感染 / カテーテルケア / 危険因子 |
Research Abstract |
関西5施設におけるカテーテル由来尿路感染(CAUTI)の調査結果を分析した。カテーテルを3日以上留置している患者を対象とした調査で、研究協力病棟は内科、整形外科、神経科、神経外科で、平均留置日数は27日であった。主な留置理由は、尿量のモニター(45%)、床上安静(20%),尿失禁(15%),創傷の保護(9%)であった。米国疾病対策センターの定義によるUTI感染率は、5施設間で12倍の差があり,主要な危険因子は便失禁であった。そこで便失禁患者にしぼりこみコックス比例ハザードを用いて分析すると、プレコネックテッドシステム(事前接続完全閉鎖型)を用いることと(RR=2.35)、毎日陰部洗浄すること(RR=2.49)が有意であった。カプラン・マイヤーの生存曲線でこれら2つの変数を分析すると、1週間から10日で感染率が有意に高くなった。この2つの変数に介入した場合の感染率の低下効果を人口寄与危険率で計算してみると、約5割であった。言い換えれば、プレコネックテッドシステムの導入と毎日陰部洗浄を行うことにより、UTI感染率が5割低下することが期待できる。その他の変数としては、有意には達しなかったが、尿の汚染のリスク、および交差感染のリスクとして挙げられるものは、管外汚染をおこしやすいケア(潤滑剤の使いまわし、採尿容器の使いまわし)、カテーテルのクランピング、粘膜損傷をおこしやすいケア(大きなカテーテルサイズ、カテーテルの未固定)であった。これらのケアの改善の必要性が示唆された。2005年度より、患者情報保護法が施行され、医療施設におけるデータ収集が困難になってきた。患者からの署名による承諾が必要となり、意識レベルの低い患者で家族の見舞いの少ない患者は研究参加への承諾を得ることができず、対象者数が低下した。
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