2005 Fiscal Year Annual Research Report
エスノグラフィーと家族機能尺度による日本の家族機能アセスメント方法の試作
Project/Area Number |
17659691
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
法橋 尚宏 神戸大学, 医学部, 助教授 (60251229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 惠子 神戸大学, 医学部, 教授 (90105172)
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Keywords | エスノグラフィー / 家族機能尺度 / 家族機能アセスメント / トライアンギュレーション |
Research Abstract |
日本人と在日中国人(華僑)を対象としたクロスカルチャー研究を枠組みとして,家族同心球環境モデルにもとづいた家族機能のアセスメント方法を試作し,日本人と在日中国人の育児期家族を対象として,家族機能を質的ならびに量的に評価することを目的とした. まず,家族同心球環境モデルにもとづいて家族機能を質的に評価する面接ガイドを試作した.育児期にある日本人7名,在日中国人6名の母親に対して半構成面接,参加観察や既存の文献などによるエスノグラフィーを実施した.さらに,家族同心球環境モデルにもとづいた家族機能尺度SEFFによる量的な評価も行い,トライアンギュレーションを行った. その結果,日本人では,地域活動への参加の重視度が高く,近所の人との交流のニーズがあることが明らかになった.これは現代の少子高齢化,核家族化,女性の職場進出などによる社会背景の変化と共に,以前は濃厚であった近隣の人々との交流が希薄化してきているために,日本人の根本にある価値観とのずれから生じてきているのではないかと考えられる.この理想と現実のギャップを少しでも埋めることが必要な支援である. 在日中国人では,文化や価値観の違いにより,子どもに対する教育方針や家族のあり方などに特有な考え方をもつことが明らかになった.また言語の壁により,コミュニケーション時の困難だけではなく,精神面・社会面に影響を受け,さまざまな異文化葛藤があることが明らかになった.そこで,在日中国人が日本で生活をするために,言語や資源の活用など社会面を助成すること,異国生活への精神面に対するサポートが求められる.
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