2005 Fiscal Year Annual Research Report
短期入所サービス利用の痴呆高齢者の家族介護者に対する問題行動対応方法教育の効果
Project/Area Number |
17659713
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
小平 廣子 福島県立医科大学, 看護学部, 助教授 (60305381)
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Keywords | 認知症 / 介護負担感 / 教育的介入 / 介護保険施設 / 概念分析 / 高齢者 / 老人看護 |
Research Abstract |
認知症高齢者の家族介護者に対する問題行動対応方法の教育的介入を行うにあたって、教育的介入プログラムの内容を構造化するために文献を用いて家族介護者の「介護負担感」の概念分析を行った。分析手法としてRodgersのアプローチを用いた。医学中央雑誌(1991〜2005年)から「介護負担感」の属性、先行因子、帰結のすべてあるいは一部が記されていた82論文を分析の標本とした。 介護負担感の概念分析の結果、「身体的困難」「心理・精神的困難」「社会・経済的困難」の3つの属性が抽出された。 介護負担感の先行因子は、「介護者」「要介護者」「介護者-要介護者関係」「環境」の4因子から成っていた。「介護者」の因子では、介護者の健康状態、介護時間の長さ、認知症に対する正しい知識、適切な介護技術、ストレス対処法、社会活動の有無などが関連していた。「要介護者」の因子では、健康状態および認知症高齢者の排泄障害、摂食・嚥下障害、コミュニケーション障害、認知症の進行時期等が負担感に影響していた。「介護者-要介護者関係」では、介護状況以前からの人間関係の良否が介護負担感に関連していた。「環境」因子では、フォーマルサービス利用効果が実感できる介護者では負担感が少ない傾向にあった。インフォーマルサポートでは、家族の協力に対する満足感や情緒的なサポート、感謝の言葉等が負担感の低下に関連していた。また、住宅環境不備等により残存機能が活用出来ない場合は負担感が増強していた。 介護負担感の帰結は、肯定的側面(慢性疲労、うつ状態、バーンアウト、虐待等)と肯定的側面(肯定的自己概念、介護に対する成就感、家族のきずなの強化等)に分けられた。 上記の結果から、教育的介入プログラムの内容には、認知症に関する病態、経過、症状、治療等の知識や、排泄、嚥下・摂食障害、コミュニケーション障害等への問題行動への具体的な対応技術、情緒的支援、介護者-要介護者間の調整、肯定的側面の認識促進などが必要であることが示唆された。
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