2005 Fiscal Year Annual Research Report
高度認知障害を有する高齢患者に対するケアの効果を測定するための方法開発
Project/Area Number |
17659719
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
湯浅 美千代 順天堂大学, 医療看護学部, 助教授 (70237494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 妙子 順天堂大学, 医療看護学部, 教授 (80320711)
石塚 敦子 順天堂大学, 医療看護学部, 助手 (90341875)
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Keywords | 看護学 / 認知症 / 効果測定 / ケア / 認知障害 / 高齢患者 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高度認知障害を有する高齢患者に対して行ったケアの効果を測定するための適切な次元と方法を見出し、この検討過程から高齢患者のケアの現場で実用可能な測定用具開発のための理論的基盤を明らかにすることである。本年度は、老年看護領域の研究者と実践者との検討会議および実践者へのヒヤリング調査により研究者が文献検討をもとに提示した測定次元・方法を検討した。 検討会議では、ケアの効果を測定するための次元として文献検討をもとに、「回復、快適さ」「予防」「ケアを提供する者のケア姿勢、倫理観」の3点を提示したが、これらの関係性を明確にする必要があることが問題提起された。そこで、ケア提供のプロセスとして、(1)予防的観点、(2)ケアを提供する者のケアに対する倫理観を含むケア姿勢があり、これが実施されているか、その結果として、(3)快適さ(comfortable)のアウトカムが得られているかの両側面(プロセスと結果)を測定次元にする必要があると考えられた。 測定方法については、前提として、高度認知障害を有する高齢患者の特性により患者本人に問う質問紙では把握できないため、患者に関しては観察による測定となる。ヒヤリング調査においては、患者の「快適さ」に関する観察項目はわずかなものしか出されなかった。また、ケアを行っている最中では、苦痛も伴うが、その後にケア前よりもより「快適さ」の高い状態がもたらされることがあげられた。すなわち、ケアの効果としての「快適さ」を、ケアのどの時点で測定するかも検討事項となることが明らかになった。また、高度認知障害を有する高齢患者の看護において、ケアを提供する者の倫理観を含むケア姿勢に関しては、重要な課題であることについて語られた。 来年度は、これらの結果をもとに、主として「快適さ」に関するアウトカム測定について、現実的な方法を試用することから理論的基盤を明らかにする。
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